ディエンドライバーの制作

お久しぶりです。

 

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かなり長い間ブログ更新を怠けてました。

というのもene-1車両の製作に疲れたのと人間関係がおかしくなっていたのと仕事が忙しかったのと色々とありすぎて何も時間が取れていませんでした。

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とりあえず今直近で作ったものがありますので更新しようと思います。

久しぶりに地元に帰った際にこのブログのことを話した人もいるのでネタが欲しかったところですし。

ということでタイトルにある通り今回は仮面ライダーディケイドに出てくるディエンドライバーを作ってみることにしました。

これは一週間くらいでガワだけ形にしたものですので動くギミックであったり光ったりカードを読み込んで音を変えたりなどは全然できません。

ただいきなり全部盛りの凝った図面を作っていざ作ってみたら動きませんでしたという感じに進めてしまうと挫折感凄すぎて手を付けなくなってしまうので徐々に調整しながら進めていくことにします。

とりあえず作った図面と参考画像を比較したものを見てみましょう。

f:id:Rightblue9:20240414224154j:image

上記左画像を参考に右に図面を書きました。

私が使っている3DプリンターはEnder3proなので一度にすべてを印刷しきらないため分割します。

それを後からくっつけることで立体化して実物がどんなもんかを確認します。

 

 

f:id:Rightblue9:20240414224158j:image

上記画像は4分割したものをすべて印刷し貼り合わせた状態です。

接合面がズレてしまって銃口の部分がおかしくなってしまいました。

とは言え印刷物の大きさが大きすぎて端っこの部分が反り上がってしまってきれいに面が出ませんでしたのでもう少し分割印刷しないといけないようです。

もしくはラフトを使って面を出すか。

それと、持ち手の部分が小さすぎてトリガーに指がかかりずらかったのでもう少し大きくした方がいいかも。

しかしこれは実物の寸法に合わせて作っているので全体的にもう少し大きくするべき?

あとはカードの大きさに合っているかわからないのでその辺も確認必要ですね。(先に調べておくべきでした)

とりあえず雑な一次試作を公開します。

綺麗な部分のみを載せても参考にならないと思うので一旦こんな感じで、という報告です。

また調整できたらアップします。

以上、ありがとうございました。

備忘録

ツイッターで設計に関するリンク集として挙げられていたものです。

非常に参考になるサイトが列挙されているのでリンクを貼っておきます。

この他にアナデジ太郎さんのブログも参考になります。

 

https://hamuteru.com/blog-links/

 

追記(20230911)

イチケンさんは当初はてなブログでご自身の作成されたプロダクトの詳細を纏めており、このブログでもフォローし更新通知を待っていたのですがどうやら公式ホームページを作成されていたようでそちらのURLを貼っておきます。

https://ichiken-engineering.com

 

Electrical infomation(検索するとよく出てくる記事ですね)追記(20240101)
『電気・電子回路』に関する記事一覧 - Electrical Information (detail-infomation.com)

 

追記(20231113)
インバータに関する記事のメモです。
忘れやすいので調べたことを書き出しておきます。

ルネサスのBLDC説明
https://www.renesas.com/jp/ja/support/engineer-school/brushless-dc-motor-02-inverter-pmw


■ベクトル制御の1次電流、2次電流の説明(磁束電流、トルク電流)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/tsj/42/4/42_280/_pdf


東芝の説明
https://toshiba.semicon-storage.com/jp/semiconductor/knowledge/e-learning/village/vector-1.html


■PMモータの位置センサレス制御技術
https://www.meidensha.co.jp/rd/rd_01/rd_01_02/rd_01_02_15/rd_01_02_15_01/pdf/article-201304-0044.pdf


永久磁石同期電動機のセンサレス制御技術
https://www.fujielectric.co.jp/about/company/jihou_2002/pdf/75-08/08.pdf


■センサレスドライブ活用(DCモータの説明が分かりやすい)
https://www.matlabexpo.com/content/dam/mathworks/mathworks-dot-com/images/events/matlabexpo/jp/2018/e4-kindai-sensorless-drive.pdf


■PID制御
https://freelance-aid.com/articles/3227.html#:~:text=%E3%81%8C%E9%87%8D%E8%A6%81%E3%81%A7%E3%81%99%E3%80%82-,%E5%BE%AE%E5%88%86%E5%88%B6%E5%BE%A1%EF%BC%88D%E5%88%B6%E5%BE%A1%EF%BC%89,%E3%81%AE%E3%81%8CD%E5%88%B6%E5%BE%A1%E3%81%A7%E3%81%99%E3%80%82


■V/F一定制御
https://kenshoku-bank.com/column/3295/


■等角加速度運動
https://d-engineer.com/unit_formula/Mech-formula.html


■滑り制御
https://jeea.or.jp/course/contents/07115/
https://denken-ou.com/c2/kikaiseigyoh23-1/
https://www.mohno-pump.co.jp/learning/manabiya/b2b.html


ロームのドライバIC一覧
https://www.rohm.co.jp/products/motor-actuator-drivers/3-phase-brushless-dc-motor#getDriverEPF


■誘起電圧によるロータ位置検出(BEMF(逆起電力)検出)
https://www.indexpro.co.jp/article/detail/2/17


■巻線電流と誘起電圧発生の原理について
https://techweb.rohm.co.jp/trend/comics/17306/


■BEMFに関するブログ
http://powerele.sblo.jp/article/162645621.html


■Microchip AN1160 datasheet
https://ww1.microchip.com/downloads/jp/AppNotes/01160A_JP.pdf


■1シャント方式
https://toshiba.semicon-storage.com/jp/semiconductor/knowledge/faq/micro/microcomputer_faq-04/Product-Specifications_Characteristics_03.html
https://www.renesas.com/jp/ja/document/apn/ra6t1-sensorless-vector-control-one-shunt-permanent-magnet-synchronous-motor-implementation


イナーシャについて
https://www.kabuku.io/case/plan/four-dynamics-02/

 

 

追記(20231210)
MOSFETのオン抵抗について

MOSFETのON抵抗 | 半導体製品 | 新電元工業株式会社- Shindengen

 

アルキメデスに関する記事

浴槽のあふれるお湯で「2000年以上にわたる原理」を発見…!喜びで「思わず裸のまま街に飛び出した逸話」も2000年以上残ってしまった天才の実名 (msn.com)

 

Legoでエアーエンジン作成(追記:20230105)

youtu.be

 

■エンジンの歴史

youtu.be

 

■バンドギャップリファレンス回路(追記:20230107)

https://www.nuhogachi.com/cmos-analog/bgr-principle/#:~:text=BGR(Bandgap%20Reference)は電源,回路に配られます%E3%80%82

 

■バンドギャップリファレンス回路(追記:20230107)

https://www.wti.jp/contents/blog/blog201218.htm

 

 

https://edn.itmedia.co.jp/edn/spv/1206/27/news050.html

 

https://www.marutsu.co.jp/contents/shop/marutsu/mame/52.html

 

■ED型基準電圧回路(追記:20230107)

https://patentimages.storage.googleapis.com/70/86/8f/59dacaf44eae8f/JP2007266715A.pdf

 

■(追記:20230111)

https://www.audiosite.jp/GuitarImpedance/#:~:text=実はエレキギターのピックアップ,たら、むしろ高いと言える%E3%80%82

 

■ACアダプタのスパイクノイズ対策(追記:20230112)

SW電源ACアダプタのノイズ対策① : 通電してみんべ (exblog.jp)

 

トランジスタの入力インピーダンス(追記:20230112)

http://www.op316.com/tubes/tips/tips0.htm

 

オペアンプの入力インピーダンス、その他下記リンク(追記:20240117)

電子回路の豆知識 (nahitech.com)

 

■検波回路(追記:20240117)

ラジオで学ぶ電子回路 - 第2章 AM検波 (rf-world.jp)

 

◾️オペアンプ(追加:20240118)

https://www.marutsu.co.jp/pc/static/large_order/1105audio

 

■フィルコンデンサ(追記:20240118)

フィルムコンデンサの基礎知識 ~特性・用途~ - パナソニック (panasonic.com)

 

■三相モーターの参考(追記:20240211)

https://twitter.com/mkbtm/status/1228203897723875329?s=46&t=kcPRkNZxYpwl1URYHf0-bA

 

■可変抵抗器の陽極酸化について(追記:20240219)

https://tech.alpsalpine.com/j/products/detail/RK1631110U2A/

 

半導体用語集(追記:20240219)

三重ウェル(triple well) | 半導体用語集 |半導体/MEMS/ディスプレイのWEBEXHIBITION(WEB展示会)による製品・サービスのマッチングサービス SEMI-NET(セミネット)

 

VVVFインバータの参考ページ(追記:20240219)

ArduinoでVVVFインバータ作ってみた #Arduino - Qiita

 

VVVFインバータの参考ページ(追記:20240219)

ちさとのblog : Ene-1GP (chisatofu.com)

 

VVVFインバータの参考ページ(追記:20240219)

Arduinoの概要 (maicommon.ciao.jp)

 

VVVFインバータの参考ページ(追記:20240219)

Arduinoで正弦波を出力する | jh4vaj

 

■ラッチアップの分かりやすい解説(追記:20240219)

ラッチアップって何?:Q&Aで学ぶマイコン講座(4)(2/3 ページ) - EDN Japan (itmedia.co.jp)

 

■モノシリックICとは(追記:20240219)

ma004-2.PDF (osakac.ac.jp)

 

オペアンプによるインダクタ(追記:20240225)

https://youtu.be/CLqfTnZ7F9Q?si=JFs2COlafSzqB5rC

 

■トーンコントローラー(追記:20240225)

https://youtu.be/kgy0PdWlkQo?si=lyG1tkGQZwYIF4e-

 

クリッピング回路(追記:20240225)

https://youtu.be/SxyNqcVIwTo?si=s_eU5rIHnfydjRtx

 

■歪みを弄る(追記:20240225)

https://youtu.be/KCdbLJkBNog?si=tmszGTKOK5Wd1a4G

 

■ファズ(追記:20240225)

https://youtu.be/CaShBPIpTjw?si=NefAssZ1vP7RgzoG

 

エフェクターのセンターマイナス(追記:20240225)

https://youtu.be/DupgbgkPLeE?si=1rZ2vvY8dOyoLO4z

 

オペアンプの歴史(追記:20240303)

https://qiita.com/nanbuwks/items/8a36a268a6f1e2d802e4

 

■畳み込みに関する詳説(追記:20240318)

https://youtu.be/CHx6uHnWErY?si=4yCIjPylIoVWS5IV

 

ゼータ関数に関する詳説(追記:20240318)

https://youtu.be/FR6_JK5thCY?si=iZVEE1qCkjb8GjHw

 

■透明ディスプレイをラズパイで表示させる(追記 : 20240415)

https://sozorablog.com/pi-transparent-oled/

 

 

 

 

2023年 ene-1 suzukachallenge 出場報告

本大会が行われたのは2023/7/30(日)のことで、開催からおよそ1カ月以上を経てやっと重い腰を上げて記事を書くことになった。
というのも、なぜ出場に至ったかという経緯とともに結果報告としたかったのである。
しかしながら、少々重い命題とならざるを得ず読者の読む気にもならないと思うので当日の動きや作戦、結果、所感等を述べて今後の参考としたい。

 

■目次
・大会前日~当日の流れ
・事前戦略
・実際の走行と結果
・所感、取りうるべき対策

 

■大会前日~当日の流れ
まず、大会前日まで私は地元に帰っていたので前日入りでの車検を受けることができなかった。
初出場では前日車検がお勧めとのことだったがこれが叶わないとなると当日朝からバタバタと準備するほかないのか。
空港を17:10に到着し、ミュースカイで最寄りまで行き、車に車両を載せて急いで鈴鹿サーキットまで向かった。
入場パスがあれば夜の出入りも許可してくれるかもしれない、というあわよくばを狙って。
結果的に無事入場できたのでひとまず安堵した。
後にピットへ車両を運び込んで整備しその日は駐車場で一晩を明かした。

ピット到着、整備

当日朝はKV-40の車検から始まる車検と同じくらいの時間からサーキットを歩いて路面状況などを見る時間を設けられていたが、生憎私のチームは私と兄の2人だけなので車検を通すので精一杯だった。
特に不安だったのはハンドルのスイッチ機構とブレーキチェックであるがそこも何とか通過した。
どちらかというと問題になったのはグローブに穴が開いていたことだった。
車検のねーちゃんはかなり不愛想で興味なさそうに仕事をしていてあまり気分のいいものではなかったがこちらも多少甘く見ている部分があったのも確かで、危うくグローブごときで出場辞退する羽目になりかけたので後進におかれてはツナギやヘルメットについても気を付けていただきたい。
車検も終われば後はやることも多くなく、今回の大会出場前にTwitterでやり取りさせていただいたユウタ氏(https://twitter.com/yut_s_e_vehicle)にあいさつをいただいて、車両についての情報を色々とお聞きさせていただいた。
とかくene-1ではエコデンレースよりも出場者の本気度とレベルが段違いなのでやっていることは理解できるがいざやれといわれたらそう簡単ではないレベルの事をされている。
まだ完走もできるかわからない私にとって途方もなく先を行く存在であるユウタ氏に仲良くしていただけているのは本当にありがたい事だと思うと同時に自分のものづくりレベルの低さを思わざるをえなかった。
そんな感じで打ちのめされつつ自分のピットに戻ってやることをやったりして第一走目がスタートする。
車輌番号は7番だったが走行順は並びが早かった順。
両隣は過去に上位に入っているチームだったので恐れ多くも先に並ぶなど考えたくもない。
ノロノロ走るわが車両は後からでいいのだ。
そんな感じで1~3走目まで出走した。
大会運営で気になる点というか、少し考慮が必要だと感じる点としてはチェッカーを受けた後の帰途で出走する車両とぶつかりそうになることだ。
車線がクロスするようになっているため2走目の帰途でぶつかりそうになったのがヒヤリハットとしてあったためそのあたりを今後考慮されたい。
最終的な総合順位としては62位/100台というものだった。
また、3走目は完走しきれなかったため失格の扱いとなる。

 

■作戦について
事前の練習走行とギヤ比を考慮してある程度実戦での想定をしていたため作戦は立てやすかった。

 

総電力量の算出

まずバッテリーの全エネルギー(総電力量)を算出する。

 エネループ1本 約2000mAh × 1.2V = 2.4Wh
 2.4Wh × 40本 = 96Wh(総電力量)

従って鈴鹿サーキットを3周で96Whなので1週32Whに抑える必要がある。(理論値)
参考にさせていただいた車両OR-3(浅田研究室)の1週当たりの消費電力量がおおよそ21.4Wh程度であるということなのでその3倍の64.2Whが鈴鹿サーキットを走っている車両の電力量の実力値ということになる。
つまり、約30%程度の電力は何かしらの要因にて取り出すことが不可能であることが推察できる。

 100 × ( 96 - 64.2) / 96 = 33.125%

で、それらを考慮しつつ練習走行で実際に限界まで走行した際の総電力量を見ると64Wh程度であった。
従ってOR-3と私の車両の結果が一致するため本番でも同様の結果となる事が予想される。
これらを考慮しおおよそ1週20Whに抑えることを目標とすることで多少の調整幅を持たせつつ走行することとする。

 

ギヤ比の算出

次に考慮するのはギヤ比である。

 モーターの定格回転数:3500rpm(無負荷) ⇒21000rph(毎時換算)
 タイヤ直径:500mm ⇒円周:1570mm ⇒0.00157km(km換算)
 ドライブ歯数:16枚 ドリブン歯数:58枚 ⇒ギヤ比:16/58=0.2758...
 時速:210000 × 0.276 × 0.00157 = 90.9972...km/h

この時の練習走行時の最高速度が43.1km/h(10A)程度であった。
上位チームの記録は以下のようになっている。

 1週タイム:7分12秒
 鈴鹿サーキット1周距離:5.8km
 平均時速:約48km/h
 バッテリー:48V直列、5Aサーキットブレーカ

従って平均48km/h(5A)くらいの実力がなければ優勝には手が届かない。
いまの記録では到底足元にも及ばないどころか電流を食いすぎているのでもっと遅く走る必要がある。
電流を考慮すると21.55km/h(5A)となるはずだ。
これにプラスして考慮が必要なのが登坂時の電流値になる。
停止状態から登坂開始した際の電流値は下記の通り。(東海大橋付近の坂)

 登坂時電流:7~8A

従ってS字からダンロップコーナーにかけての長い上り坂を駆け上がるうちに7~8Aの電流値に達し、サーキットブレーカーの遮断電流を超えてしまうため登坂は無理、という結論に至ってしまう。
これを解決するためにはギヤ比を下げるしか方法がない。
ギヤ比がそのまま電流値に線形に影響を与えると仮定して、電流減少比をギヤ比にかけてやればいいとすると

 0.276 × (5A / 8A) = 0.276 × 0.625 = 0.1725 > ギヤ比

とならなければならない。
電流比である0.625をギヤ比でどう捻出するか。
ドリブン側の58Tはこれ以上増やすには限界である。
ドライブ側の16Tを減らすしかない。

 16T × 0.625 = 10T

理想的なドライブスプロケットの歯数は10Tということになる。
だが実際には11Tのドライブスプロケットを用意した。
上記登坂時電流は停止状態からを想定しているため、実際にはホームストレートでの下り坂の勢いをそのまま利用しS字カーブの中腹あたりまで惰性走行できると踏んでのことである。
ただ、これもあくまで予想の範疇に過ぎないため11Tと16Tの二つの選択肢をもって本番走行で様子を見ながらチャレンジするしかない。
本当は練習走行がその場であったが間に合わなかったのだから仕方がない。

 

走順ごとの戦略

次に考えるのが走順ごとの戦略をどうするか、ということである。
上記でもあるように走行練習を行えず本番を迎える以上、これを練習およびデータ測定の場として活用するほかないのが現状だ。
3周走り切れるようエネルギーマネジメントするための手札も何もない。
従って3回トライする間に手を変え品を変え様々な情報収集につとめることを考えた。考えたのは下記のようなものである。

 まず、ASD(浅田研究室)氏(ASD (浅田研究室) (@ASDQWE14611688) / X)によると下記画像のような見解を頂いた。

ASD氏アドバイス

この経験則をもとに、現在の無負荷時の速度を算出すると

90.9km/h (16T)

11Tに変更後は

90.9 × 0.6875 = 62.49375km/h  (11T)

ASD氏の言から考えると11Tでは最悪な結果を招くことになる。
しかしここで考えたいのは速度に対して一番の抵抗は空気抵抗であるということ。
ASD氏の車両OR-3などは美しいカウルを擁する車両である。
高速度帯(30km/h以上)では非常に効果がでて記録差を生む。
私の車両はフレームのみのため16Tで同じタイムを出せるとは限らないことと1周走り切れない可能性を考慮し、1走目を11Tで走る。
消費電力量を確認し、行けそうであれば16Tに変更し2走目を走ることとした。
次いで3走目はバッテリーを24Vパラにし、10A上限で走行する。
3走目は下記のような理屈からである。

M1048の48V特性曲線

M1048の24V特性曲線

まず、ミツバ製M1048モーターの特性を見る。
ここで着目するのは48V駆動と24V駆動時の効率のカーブである。

48V@5A・3500rpm(90.9km/h) 85%
24V@10A・1650rpm(42.85km/h) 92% (+7%)

ざっと上記のような効率特性となっていることが分かる。
すなわちこのモーターはできれば6~20A付近で使ってやるのが効率がよく、それを下回ると著しく効率が低下する。
しかしサーキットブレーカーの制限を受けて48Vではそれが叶わないため24V走行で走ってみてはどうか、ということである。
この考え方を採用した場合の問題としては回転数が落ちることにある。
おおよそ約半分の回転数になるためギヤ比を倍に上げる必要がある。
3走目は電力も落ちてくることも予想して16Tで走れば実際の電力のパワーダウンと相まっていい感じのギヤ比に収まらないか、というのが算段である。

 

ということで今回の作戦をまとめると下記のようになる。

作戦

 1走目:11T/58T@48V/5A (20Wh以内)
 2走目:16T/58T@48V/5A (20Wh以内)
 3走目:16T/58T@24V/10A (20Wh以内)

走行時にはできるだけブレーキをかけずハンドリングで対処する。
下り坂でも5A一定となるようボリューム調整を行う。
惰性を使わない理由といては後に計算しづらくなるため。

 

■実際の走行と結果
まず結果を述べる前に、実際の大会では1走目の条件でしか走行していない事を前置きする。
理由としては以下の2つが挙げられる。

 ①1走目での消費電力が20Whを大きく上回ってしまったこと。
 ②24Vパラのワイヤーハーネスを製作しきらなかったこと。
  また、サーキットブレーカーも用意できなかったこと。

1に関しては16Tで走行することの余地の無さを示していた。(消費電力的に)
また、おそらく当初想像していた通りダンロップを登り切らなかったであろうことが予想される。
2については完全に時間不足であった。

 

結果

まずは1週ごとの結果を見ていきたい。

 走行前:55.89V / 0Wh / 0km
 1走目:51.05V / 35Wh / 5.6km / 14'04.066
 2走目:(40.4V) / 34Wh / 5.6km / 24'44.367
 3走目:0V        / 10Wh / 1.6km / (5'00.00)
 トータル:55.89V / 79Wh / 12.8km / (43'48.433)

バッテリー電圧は初期状態で56V付近まで上昇している。
これは直前までの追加充電により過充電状態を作り出したことによる。
2走目後の電圧値がカッコ書きなのは記録が残っておらず記憶頼りのため。その他も同様。
3走目は電力切れで走行停止した時点での記録による。
1周当たりの消費電力量は一定して35Whであった。

 

走り方について

1走目で35Whは当初の予定を大幅に上回ってしまった。
登りも下りもすべて5A一定になるようボリューム調整し、特にダンロップでは瞬間8~9Aもの電流に達していた。
従って2走目ではできる限りボリュームを絞り、登りをゆっくりと、下りは惰性で走ることに切り替えた。
3走目は2走目と同様の走り方で走ることにした。
これによって走り方による差分を出し、結果に与える影響を確認した。

 

■所感、取りうるべき対策
まず、この車両は全体的に無駄が多く効率が悪い。
その原因で1週当たりの消費電力量が35Whに達してしまっている。
無駄となっている点についての考察は後記するがとにかく無駄な抵抗となっている部分が多いことが分かった。
次に、走行方法による消費電力の違いがあまり現れないという意外な結果も判明した。特に電力消費を抑えた意図をもってボリュームを絞り気味にしても何の効果もなかった。
これはじつはTwitterで事前にFujikawa氏(https://twitter.com/ft2323)と議論していた通りの結果を証明したものであった。

Fujikawa氏からの見解

この切り抜きで指摘されているように「電力消費を抑える前に『早く走ること』が前提です。」ということで上記の結果がFujikawa氏からの見解と一致する結論を導き出すことになる。
言の正しさを身をもって体感したのと同時に、想像の域を出ない話に初めて現実味を感じました。
当初の私の見解ではエコデンレースのような平坦なコースと違って激しい上り下りがあるのだから走り方は違うだろうし走り方ひとつで結果も大きく変わるはずだと思っていました。
実際、エコデンレースでは競技時間内にバッテリーが消費される一定の電流値に合わせてボリュームはほぼ操作しません。
このときの一定の電流値についてはバッテリーがレギュレーションで同一のものを使用している限りは同じ条件になることが考えられるので最終的に勝敗を決するのは車両の性能にかかわるわけです。
で、その性能差がどう表れるかというと結局のところスピードとなって現れます。
つまり、逆説的ではあるものの速く走ることを追求することで結果が付いてくる、ということになります。
Ene-1でもFujikawa氏の言を裏付けるように結果が表れたわけです。
これは私の想像から離れたものであるためとても以外でした。

 

・この車両は全体的に無駄が多く効率が悪い。
ではどうすれば速く走れるのか?
やはり走行抵抗となっている部分を徹底的に排除していくというのが基本方針になるでしょう。
過言を言ってしまえばこの種の競技で行っていることは何かといえばこの「走行抵抗」の正体を明らかにし、対策を考え、技術的に取りうる手段を実行していく、ということになるのではないでしょうか?
上記が十分な水準に達して初めてエネルギーマネジメントの話が出てくるものと思います。
ということで私の今の車両の抵抗となっている部分を明らかとするために考えうることを書き出してみます。

 

抵抗となりうる事象・改善するべき点
アライメント
 リンクロッドの逆ネジ
 リンクロッド位置上げる、軸
 ナックルアームを長くする
 軸受け作り直し
 アッカーマンの角度精度向上
 キャスター角の廃止
 タイヤの14インチ化
 IRCの導入
 ボディ製作
 定電流回路
  OPアンプによるシャント抵抗の電圧検出
  基準電圧回路
  差分出力回路
 モーター特性検証
  ターン数変更 差分確認
  太さ 直径の変更
  温度特性
  コギングトルク
 モーターのトルク測定治具の製作
  吊り下げ型おもり測定器 DCモーター接続型
 タイヤ負荷掛け治具
 スプロケットの変更 25H/T8F/その他狭ピッチのもの
 前タイヤ振れ取り台 3DPにて自作
 バックミラー取付強度向上
 アナログ電流計
 モーターの巻き線、巻きなおし

 

抵抗の数値化するべき事象とそのパラメータ

<タイヤの抵抗値の数値化>
ベアリング抵抗
 車軸受けを作って外部から低速度回転を与え、回転が止まるまでの時間を測定
パラメーター
 ホイールの回転重量のバランス調整
 タイヤの真円度
 タイヤの重さ
 ベアリングのグリスの硬さ

転がり抵抗
 一定の角度の坂道からタイヤを転がして進む距離

パラメーター
 タイヤの表面粗さ
 タイヤの太さ
 タイヤゴムの重さa
 空気圧
 真円度
 ベアリング粘度
 ホイールの真円度
 ホイールの回転重量バランス

 

<チェーン>
ピッチ
グリス、オイルの粘度
スプロケ
変速機
伝達効率に関係

 

<アライメント>
人の乗車時の負荷、走行時、カーブ時の負荷などによって、アライメントのずれがどうしても生じてしまう。
このずれに対するパラメータを明確にする。
これがずれることによる走行抵抗は、タイムを狙う上で無視できない。

パラメータ
 フレームのねじれ
 車輪軸の軸受け強度不足
 フレーム ⇔ 軸受け 間の接続パーツの強度不足
 ボールエンドの強度、精度不足
 ナックルアームのねじれ、たわみ
 ロッドのたわみ

 

<モーターのチューニング>
モーターをチューニングすることは不可逆な改造に値するのでもし万が一にも性能劣化を起こした際には元に戻すことが困難となる。
遊べるモーターとしてトラ技の自作モーターキットを用いて色々と試すのがいいだろうと考えている。

 

 

 

ene-1車両の設計製作10

今週末(20230716)の確認事項。
・削り出しスプロケの確認。
・ハンドルの跳ね上げ機構による乗降性
・キャスター角3度の操作性。
・アライメント調整
・サイドミラーの視認性。
・車高調整。
・静電スイッチの安定性
・新規ブレーキユニットの確認(車検を想定した確認)
・その他走行時の不具合チェック

前回の走行試験からの改善点と統一規則に適合させるための修正を実施した。
修正項目に従って上記確認事項について確認することにする。
順に記載していくことにする。

■削り出しスプロケットの確認
これは今までamazonnで安い自転車用スプロケを3DPで軸取付用ハブで対応していたものを一枚の削り出し品に切り替えたため、その嵌合チェックと実装状態での不具合チェックを兼ねる。
嵌合、走行時のいずれも問題なく動作していた。

■ハンドルの跳ね上げ機構
現在の車両でいくつか問題になっているもののうち乗降性の悪さが挙げられる。
ハンドルステーが膝にあたってうまく足を奥まで滑り込ませることが困難な状態なので、ハンドルを跳ね上げることができる機構を取り入れることで乗降性の向上を図ったものである。
言わずもがなハンドルにはリンクロッドが付いていて力を前タイヤに伝えている。
そのためハンドル操作が跳ね上げ機構によって誤操作につながるような仕組みとなってはいけないため色々考えて現在の形に行きついた。
機構を取り入れることは可能となったがそのおかげで乗り降りしやすくなったかというとそこまで変わりなかったので残念。

■キャスター角3度の操作性
去年の大会でホームストレートを走行している車両でただの直線でもあるにもかかわらず事故を起こす車両が複数いた。(1台ではない)
なぜか考えたところ、ホームストレートでは時速70km/hをゆうに超えるスピードが上位チームでは常であるらしい。
エコデンレースでは行っても30km/h行くか行かないかくらいだったと記憶しているのでゆうに倍を超えるスピードが出ていることになる。
エコデンレース終了の向きもあってその車両の状態のままene-1に出場したとなればキャスター角のついていない車両は少しの操作ミスでハンドルを取られてしまい壁に激突という結末が待ち受けているということである。
以上はあくまでも私の妄想に過ぎないのだが当たらずとも遠からずといったところではないだろうか。
つまりアライメント関連の不具合以外にストレートでのクラッシュはあまり考えずらい。
そして、現在の私の車両での不安点といえばキャスター角である。
ツイッターでやり取りをさせていただいているASD氏の車両では7度程度の角度をつけているそうで、他チームの記録を出してる車両を参考にしているとのこと。
であれば私もそうしようということで、様子見で3度付けたフレーム取付具を製作した。
これによってハンドル操作に与える影響を明確化することが目的となる。
本来キャスター角を付けたならキャンバー角もそれに応じて調整が必要と考えられるがそのあたりの計算を如何せん私が知らないばかりにまずはキャンバー各0度で確認することとなる。
少し不安。

■アライメント調整
上記でアライメントも踏まえて記載してしまったので割愛。
基本的に走行抵抗となる角度をつけているため調整必須。

■サイドミラーの視認性
車輌統一規則にサイドミラーの取付が義務付けられている。
ミラー面積まで規定されているため少々大きめのものをチョイスして取り付けた。
取付位置が視認性に与える影響を確認したい。
もし悪い場合は別場所に取り付けることを検討しなければならない。
また、取付ステーがかなり貧弱に作ってしまったため走行時の振動で視認できるかどうかも確認事項である。

■車高調整
前回の走行試験では路面のギャップを拾ってバウンドした際にフロントフレームが地面に擦ってしまったため車高を上げる必要性を感じている。
鈴鹿サーキットでは現在の木曾三川公園と同様の路面状態であることが想定されるのでアスファルトの割れ目で生じるバウンドに耐える車高をセッティングとして出す必要があると考える。

■静電スイッチの安定性
車輌統一規則で定められているハンドルスイッチである。
他チームでは色々なアイディアで乗り切っているが、基本的にドライバーがハンドルから手を離した際に電力がモーターに伝わらなければOKなのでスイッチでなくても可変抵抗器をバネで戻るような機構を搭載しても構わない。
本車輌では一風変わった取り組みとして静電容量式スイッチを取り入れることにした。
このスイッチは人が手で触れている間はオンとして認識してくれる。
そして何よりそのスイッチ基板はとても薄く小型なためハンドルに仕込むにはちょうど良いサイズ感である。
ハンドルを触っているドライバーにとって負担に感じない接触確認方式でハンドルスイッチを構成できるので非常に期待感が高い。
ただ一点気になるのは、車両の走行状態では路面状態やボリューム操作、などによって制御回路が振動や電流変動にさらされるため安定した動作が可能かどうかわからない点である。
この辺りのデバックは実装状態でなければできないため要確認事項である。
車両規則に定められているためもしうまくいかなかった場合はかなりの手戻りを必要とするため何とかうまくいってほしい点である。

■静電スイッチの安定性
上記で論じている通り、安定性に関する懸念事項(振動、電流変動)があるためその確認。

■新規ブレーキユニットの確認(車検を想定した確認)
車検時の確認項目として傾斜をつけた状態での乗り降りができることが記載されている。
そのため、ブレーキユニットの調整に加えて8%程度(角度にして11度程度)の傾斜状態でハンドルを握らずに別の方法でブレーキをかけつつ乗り降りしなければならない。
色々考えたが新しい機構を考えて取り付ける時間はないと判断し、ビリビリテープでブレーキを引っ張った状態でハンドルに固定し乗り降りするという結論に至った。
実際にそれでうまくいくかを確認する。

■その他走行時の不具合チェック
上記に上げた以外にも気になる点が走行時に出てきたら書き起こしておき本番までに改善する。

 

本来この記事は走行試験後すぐに更新する予定であったが時間的余裕がなく遅れに遅れて本番終了後の今になって記事化した。
とは言え完成までの観点として何を考えどのように乗り越えようとしていたのかを書き残しておくことは重要だと判断し記事に起こしました。
考えていることがあっている部分もあり、間違っている部分もあったが練習走行会にも参加できずここまで推論できているのはよく頑張った方なのではないかと自分をほめたたえたい。

以上、ここまで。

ene-1車両の設計製作9 走行試験

2023/7/2走行試験の2回目を行いました。

本件ではドライブスプロケットのハブ破損と言う事態が前日にあり、急遽作り直して走行させています。
バッテリーはエネループ40本。
前回からの変化点としてはハンドルバーを10mm長いものに変更しています。
場所は木曽三川公園の柵内で行いました。
川の土手を一本道で10kmほどの距離になります。
路面状況も不明だったため最高速度は出せていませんがボリューム開度約70〜80%程度で40km/hくらいでした。
上位に食い込む車両の平均速度が50km/hくらいらしいので現時点では箸にも棒にもかからないですね。

今回の走行試験での確認事項としては下記の通りです。

 

■走行試験での確認事項
・走行場所が適切か(走行していい場所か、路面凹凸がないか)
・PLA樹脂の強度確認(特に駆動系)
・バッテリーの取り回し、端子接触など
・5A走行時の速度
・坂道登坂時の電流値確認
・高速走行時のハンドリング
回生ブレーキの動作確認
・最長移動距離の確認

では一つ一つ見ていきます。

 

・走行場所が適切であるかについて
今回走行試験を実施した場所は木曾三川公園の柵の内側になります。
下記GoogleMapでバーベキュー場があると思いますがその左右に木曽川長良川があってその間に細い土手が北向きに長く続いていると思います。
そのスペースは柵で車の侵入を阻止しており自転車乗りの方がものすごいスピードで走り抜けています。
たまに原付が走っている以外は特に何もないただのまっすぐな道です。
ある程度まっすぐ行くとパラグライダーの準備をしているおじさんに出会いました。
その日はパラグライダーでしたが別日にはウィンチでグライダーを引っ張って飛ばしたりもしているそうです。
話を聞いていると特に注意する点はなさそうです。
ただ、自転車が多いので接触事故にだけ気を付ける必要がありそうでした。

走行場所

パラグライダーの準備を見学

・路面に凹凸がないか
これについては実際に走ってみなければ分かりません。
ので、とりあえず端から端まで走ってみることにしました。
南側から入っていくと路面に徐行促進のための凹凸が設置されています。
自転車乗りの人はこの横の方をすり抜けるように走行して避けているのですがene-1車両ではトレッドがとてもギリギリでした。
一歩間違えると土手の底に落ちてしまうので危険です。
反対に北側から入ると特に段差もなくスムーズに走ることができます。
路面の細かなひび割れなどありますがそこまで走行に問題はありません。
しばらく走ると東海大橋の下を避けるように窪んでいる部分があります。
そこだけ注意です。
車両に乗った状態では視線が低くなっているので下り坂の先や上り坂の先が見えないです。
その日はそのまま走りましたが自転車との接触が考えられるので一旦降りた方がいいかも知れません。

・PLA樹脂の強度確認
前述の通りドライブスプロケットの軸受けが破損しました。
キー溝を抉るように破壊しているのがわかると思います。
はめ合い公差が甘かったのとキー溝の力を受ける部分の長さと厚みが足りてませんでした。
本来プラス公差で作ると思いますが若干マイナス公差気味にして圧入する方法に変更することでキー溝に対するキックバックを無くしてあげることでその日の走行時間はバッテリーを使い切るまで走ることができました。
ドリブン側のスプロケ取り付けハブもPLAですがこっちは割と強度的に大丈夫のようです。
やはり回転半径が小さいドライブ側の方がトルクを強く受けて壊れたのだと思います。

ドライブスプロケットのハブ取り付け状態

ハブの破壊状態1

ハブの破壊状態2

ハブの破壊状態3

ドリブンスプロケの状態

・バッテリーの取り回し、端子接触など
バッテリーについてはBOXを使って管理しようとしていましたが前回あえなく失敗に終わったためおとなしくニッケルストリップをはんだ付けすることにしました。
通りすがりさんのアドバイス通り10本一組として4セル作成し、それらを直列にすることで48Vを取り出します。
画像では充電済みの元気のある状態なので52Vまで電圧が上がっています。
SNSでも同様の画像を投稿して意見を募ったのですが、まず大会規則としてバッテリーは外部からメーカー、型式が確認できる状態でなければならないため黒い熱収縮チューブで覆うのはよくないと指摘を受けました。
従って現在部品注文中になります。
また、バッテリーマネジメントとして走行中に直並列を切り替えて平坦走行時と登坂時で取り出す電流値を変えたりしているのか聞いてみました。
結論としては直並列切り替えはほとんどのチームで行っていないというのが現状のようです。
登坂時のエネルギーについても結局トータルのエネルギー量が変わるわけではないため優位さは出ないとのこと。
エネルギー=V×I のため一定。
また、ギヤ比についても質問しましたがそれも最高速が出る組み合わせであればあまり気にするところではないとのことでした。
ですので、今回の走行試験では平坦での速度、電流値を確認し、他チームの平均速度と比較して理想的なギヤ比の算出を行うこととしました。

 

バッテリーのはんだ付け1

バッテリーのはんだ付け2

熱収縮チューブによる固定

XT60コネクタによる直列接続

40本直列時の電圧確認

・5A走行時の速度
・坂道登坂時の電流値確認
上記二点については同時に確認できますのでまとめて書いていきます。
まず5A走行時について。
これは平坦部を走行している際の最高速度のことを意味していますが、今回の走行試験では路面のコンディションのすべてを把握できているわけではなかったため5Aマックス走行は実施できていません。
従ってこの値は不明ということになりますがある程度めぼしとしては40km/hくらいで走行していたのでそれを目安にします。
で、ボリューム変化に対する電流値増減がかなり大きい印象をうけており、他チームと比べて遅いですがもう少しギヤ比を下げたほうがよさそうな印象を受けました。
タイヤが20インチでドライブ側16、ドリブン側58ですのでもしかしたら他チームよりトータルではモーターにかかる負荷が高くなっているかもしれません。
定格回転数なども考慮して考える必要がありますが、検討できたら更新します。

次に登坂時の電流値確認です。
これは途中の橋の下をくぐっている部分での確認になります。
一旦、下りきったところで停止し、純粋に登坂時に流れる電流値がどれほどかを見ました。
だいたい7Aほど流れていたと思います。(サーキットブレーカーは10Aほどのものを使用していました。)
これでは鈴鹿の勾配を登れないでしょうね。
もしかしたらその坂の勾配がきつすぎるのかもわかりませんが、いずれにしても余裕がない側になるため1周走り切るより先にダンロップコーナーを登れずリタイアになりそうです。
ですのでやはりギヤ比は下げることになると思います。

電流電圧計の取り付け

・高速走行時のハンドリング
キャスター角をどれくらい付けるかについて考慮が必要です。
現在は0度になっているためかなり反応はいいですがハンドルを取られてしまうかもしれません。
今回の試験走行ではカーブなどはないためあまり細かく確認できていませんがなんとなく蛇行走行した限りではそこまで問題になりそうではありませんでした。
ただ実際のコースでは下り坂で加速度もついてかなり早くなるため後に角度をつけた車体でもハンドリングを確認しようと考えています。

回生ブレーキの動作確認
モーターコントローラーに機能としてついてる回生ブレーキについて、前回低速走行時にはボタンをいくら押してもなんともなかったですが、今回40km/hからボリュームを全閉してスイッチを押すと負荷がかかり電圧が上がりました。
おそらく遅すぎると発電電力が48Vに達しないために回生が機能しなかったものと思われます。

・最長移動距離の確認
この木曾三川公園の土手の長さは約10kmあります。
で、南側に車進入時の速度制限のための段差が7~8ほど100~200mおきにあるため、なんとなくですが片側1kmほどは走行できないと仮定します。
そして、北側から速度制限段差まで走り切って向きを変え2~3㎞ほど走ったところで電池切れになったので大体10kmほどは走ったことになります。
ここで、鈴鹿サーキットは1周約5.8kmですので3周走ると17.4kmになります。
それに加えて高低差がありますから、ざる勘定で平坦を約20kmくらいは走れないと完走できない気がしますね。
つまりこの場所を1往復くらいはできないといけない、ということになります。
現状では2回目のトライでダンロップコーナーをギリギリ登り切ったくらいで電池切れになりそうです。
ギヤ比は下げなきゃいけないけど走行距離は足りていない。
全く持って上位チームはどうやっているのか計り知れません。
一応、今回はカウルなしですのでカウルがあるとまた結果は変わってきます。
私が同好会時代に一度だけカウル有り無しで校内の周回数にどれくらい差が出るか見たことがありますが、約20~30%程度悪くなっていた印象です。
カウルの分重くなっても速度の2乗に比例して抵抗が増加するのでやはりカウルは大事ですね。(遅いことの言い訳をすべてカウルのせいにはできないと思いますが。。。)

 

 

走行試験風景1

走行試験風景2



 

ene-1車両の設計製作8

2023/6/17(記事執筆時からみて先週末)に走行試験をしたのでそのことについて書いていこうと思います。

 

ーーーーー読み飛ばして大丈夫です。

まず電池ボックスを作成途中でしたが完成にはほど遠く実現性がないことが分かりましたので取りやめることにしました。
ただ、現在は別案がありそちらでどうかという試行錯誤は引き続きやっていこうと思います。
電池ボックスを使う利点としてはエネループに対して不可逆な加工を施す事なく使用できる点にあります。
電池単体を取り出して個別に使用することもできるし入れ替えることもできると言うのも利点です。
欠点としては端子接触部が非常に不安定で走行中の振動にさらされると信頼性が低下してしまいます。
接触不良を起こしやすく、接触不良のデバッグは見ただけでは判断しづらいため潜在的なバグを抱えたまま出走することになってしまうというリスクを背負うことになります。
ene-1などの車両はサスペンションを内蔵していないため路面から直接衝撃を受けます。
何もないような平坦に見える道でも案外凹凸はあるもので、そういう小さいギャップを逐一拾ってしまう構造のためニッケルストリップなどをスポット溶接などで留めてしまうのが1番確実な方法だと思います。
これは通りすがりさんから教えていただいた知見によるものですが以前から私も同様に考えていた方法の一つです。
電子工作系YouTuberのイチケンさんという方がいます。
以前からこの方の動画を視聴しており大変知識が豊富な方でとても勉強になります。
この方がニッケルストリップのスポット溶接を溶接機から自作して溶接品質の改善のためにタイマーリレーの導入などを行ったりして参考になります。
通りすがりさんからも知見があり、溶接端子から加える応力を一定に保つことが品質向上に繋がるとの事です。
これらについては後ほど実際にやってみて記事にしようと思います。

※バッテリー関係についてはこれ以外にもCレートやデルタピーク・温度・時間などを加味した充電回路、放電特性として電流・電圧・電力量・内部抵抗・直並列接続と放電時の発熱等を考慮、コネクタの信頼性や接触抵抗、充電方法、ets...
色々と考えなければならないし記事3個分くらいの情報量になりそうなので後でまとめます。

ーーーーー読み飛ばして大丈夫です。

 

話が大きく逸れました。
とりあえず上記のような状況でまだ電池の固定方法が決まりきっていないため一時的に電動ドライバーのバッテリーを使用して試し走行することにしました。

 

この試し走行で確認したい内容としては以下の通りです。

目的
 車両が実際に走行した際の弱い部分の炙り出し。
 特に3Dプリンター出力部品の走行時に受ける応力に対する強度検証とし、問題ないことを確認する。

確認項目
・前タイヤ軸受け部の走行時強度(直進)
・前タイヤ軸受け部の走行時強度(カーブ)
・操舵系の操舵時に受ける機械的強度(中継リンクのねじれ)
・操舵系の操舵時に受ける機械的強度(バーハンドルの固定強度)
・駆動系の機械的強度、精度(ドライブスプロケのハブ)
・駆動系の機械的強度、精度(ドリブンスプロケのハブ)
・ブレーキの機械的強度(Vブレーキ取り付け部)
・ブレーキの機械的強度(ハンドル)

結論から言うとドライブスプロケットのハブが後に壊れました。

 

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上記写真は走行確認時の様子です。

まずこの日はバッテリーを電動ドライバーの電源に使用しているリチウムイオンの14.4Vを使用しています。

エネループ40本だと全直列で48V〜52Vくらいまで電圧がかかるので条件は全く違います。

ただ、3Dプリンター部品をふんだんに使っている為初めからフルパワーで走るリスクは大きいのでこれで十分です。

電源を入れて慎重に走り出します。

徐々にボリュームを上げていってMAX時で大体14km/hくらいでした。

その上で直進性、カーブ時の部品の強度、回転半径、ブレーキ時のかかり具合、ブレーキ取り付け部品の強度、駆動系の強度などを確認しました。

どれも低速で走行している分には問題なく機能していましたね。

アライメントも問題なさそうでした。

ランク機構の中継器が捻れてうまく動かないかとも思ったんですがなかなか良い感じでした。

ハンドリングも軽いです。

キャスター角は現状0度でとっているので高速走行時にどれほど操舵に影響するのかが今後考慮が必要になります。

駆動系は走り出し時に1番負荷がかかる部分になります。

チェーンの駆動も機械精度がある程度ないと脱落の可能性もある為不安でしたが案外綺麗に動いてくれました。

ドリブン側のスプロケが58丁でとても大きいものなので面の中心が出ていないと偏心してチェーンの張りが一定にならず効率が悪くなってしまいます。

摩耗も早まります。

この辺りもなんとかクリアです。

いやー長い道のりでした。

「とりあえず走る」ただそれだけでもうヘトヘトです。

気力を失いそうになっていました。

なんとかなってよかった。


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この時点での課題はやはりバッテリー接続のための方法です。

上記写真のように蜂の巣状に電池を入れる為の穴を開けておき、上下からハンバーガーの様に挟み込んで固定及び端子接触させる方法に挑戦しました。

この構造の良いところはバッテリーを半田付けしなくて良いと言うこと。

出来るだけ不可逆な加工をしたくなかったので考えた末の方法でした。

しかし、40本分のネジ締めの圧力が蓋の固定ネジのネジ山を壊してしまってあえなく失敗に終わりました。

M3のネジを通すのに若干小さめにバカ穴を開けておいてネジ自身でネジ山を切って固定する方法を取っていましたがナットを内蔵すればよかったですね。

また、ネジ締め圧力は蓋の強度不足もあり隣のネジ締めによって持ち上げられた分がその隣のネジ締めに影響を及ぼし最初に締めたネジが後からユルユルになっていてまた締め直して…を繰り返すことになり接点を均一に接触させるのは難しい問題がありました。

したがって本案は取り下げられ、ニッケルストリップをはんだ付けする方法に落ち着いています。

※のちに気づきましたが車検時に電池の外観が確認できる必要があるとのことで、この案がうまくいったとしても採用できないことが分かりました。

 

ene-1車両の設計製作7

最近は今までのダラダラ生活を取り戻すべく色々と製作活動を進めています。
基本的には今まで充填率20%で仮作成していた部品たちを成立性の確認が取れたものから順次充填率100%で作り直しています。
モーターマウントなんかは出力に丸3日かかりました。
そうやって出力している間に別のパーツの図面を書いてアイディアを出してみたりして~といった感じです。

モーターマウント出力途中(2日目状態)

このデカブツの充填率100%での出力はなかなか難しかったのでそれについて書いていきます。
まず充填率20%では起こらなかった問題として出力物の反りがあります。
出力した下の層が上の層の熱収縮によって引っ張り上げられて反り返ってしまいます。

造形物左端が反り上がっている様子

同じ失敗を何度か繰り返しながらいろいろと原因を調べてみると上記のように造形物に対して温度勾配が生じていることが反りの根本的な原因であることが分かりました。
実は3Dプリンタの騒音対策にヒーターファンをシュラウドの外側に出したりノズル冷却ファンの回転数を0%にしたりして温度管理がいい加減になっていたことがここで顕著に現れました。
結構出力に時間がかかるもので一回の検証結果が出るのに数時間もかかるので非常にしんどいデバックでしたがこれもなんとかクリアしました。
デカい造形物は単にでかいものを出力しているだけと考えていた自分の愚かさに恥、他の方の作品に対しての見方も変わりましたね。

リンク機構

その他、リンクユニットもデカいのでこれも大変ですね。
まだ出力しなおしてないですが今はやる気が別の方向に向いているのでそのうちやります。

フロントタイヤを片持ちハブに組みなおす

次にやらねばならないのは片持ちハブにこのタイヤを組み替えることです。
通常、車輪にスポークを貼ろうと思ったときはそれなりの専用工具を用意して精密に調整しながらニップルを回りていきます。
スポークを通す順番もあるし長さの合った物を選定しなければならないし締める順番も考えてやらないといつまでたっても調整が終わりません。
まあそこまではいいんですが、片持ちハブに付け替えるというのが曲者で専用工具では調整できないんですね。
そのための自作の治具を作ることも全然アリなのですが如何せん大会までに時間が足りなさすぎるので外注することにしました。
近場に自転車販売店が複数あるのですべてに電話を掛けましたがどこも取り合ってくれませんでした。
ダメもとで出張自転車修理サービスに電話したところ「ウチなら何でも組んでやる!」といってくれたため多少値は張りますがそこへ現在組んでもらっているところです。
組みあがったらまた記事にします。

ハンドル周りレイアウト1(暫定)

ハンドル周りレイアウト2(暫定)

今度はハンドル周りのレイアウトです。
前回のものはくそデカいパネルを設置していたので視認性最悪だったと思います。
できるだけ上に突出を避けてハンドル下にボタンやボリュームを置いて親指で操作します。
取付ユニットは図面省略として穴径や穴位置はそろえてあります。
唯一進角制御用のスイッチのみイレギュラーです。(レイアウトも)

サーキットブレーカーの取付1

サーキットブレーカーの取付2

サーキットブレーカーも取付治具を作成します。
操縦者が万一の事態に対して自分で入り切りできるような場所に設置しておくのがいいと思います。
不慮の事故で意図せずブレーカが落ちてしまったら再度スイッチを入れることができないとそこで記録は打ち切られてしまいます。
一応手元にも主回路のスイッチはあるのですがこれはハンドルと連結して手を離すと自動で回路が切れる仕組みを組み組むためのものですので意味合いが少し違いますね。

底敷きの取付

現在取り組んでいるのは操縦者が乗り込むスペースの底敷きです。
分厚い鉄板をきれいに加工してやろうと当初は思っていましたがやはり時間に追われて手の込んだものが作れないので間に合わせとしてPPクラフトシートを使っています。
ただこれで作る場合はもっと外周のねじ止め部を増やしてやらないとグニャグニャになってしまいます。
留め具が足りないので発注しているところです。

と、まぁこんな感じで急ピッチで制作に取り掛かっている状況です。
もう完成は目前ですがあと残すは電池ボックスですかね。
そこまでできればメインは終わり、残りは配線をまとめる固定治具であったり隙間を埋める何かであったりそういった細々としたものを作ることになります。

正直もう作るのはこのくらいにして早く試走したい。