モーター特性の測定

エコデンカー製作のうえではモーターの特性を知っていることが必要条件である。

現在使っているモーターの諸元は以下の通り。

定格電力  :500W

無負荷回転数:2800RPM

・詳細

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・目的

このモーターはブラシ付きのdcモーターで定格電圧は24Vである。

エコデンでは12Vのバッテリーを一つだけ使用するので直繋ぎの場合は定格電圧での使用は出来ない。

この様な場合ではモーター特性にどの様な影響をもたらすのか、それを調べるのが今回の目的である。

 

dcモーターを制御しようと思ったとき、まず初めに考え付くパラメーターは電流と電圧である。

それぞれを変化させたときのモーターに与える影響はどの様なものかをまとめてみた。

 

■電圧変化

モーターの特性として入力電圧が変化すると回転数が変化することが知られている。

基本的に、電圧が倍になれば回転数も倍になると言う風な線形性を持っていて、これを利用して変速機の様な作用のさせ方を検討している。

■電流変化

電流量が増えることでトルクが増加する。

もしくは回転負荷がかかる場合には回転数が落ちて逆起電力が減少し、消費電流が増加して負荷を回すことになる。

この様な場合に電流増加が生じる。

電流増加分は負荷を回す力に消費され、電流が増えたからと言って回転数は増加しない。

しかし、無負荷状態で入力電流量を任意に調整した場合は、それだけモーターの消費する電力が変わるので回転数が変化する。

 

 

以上の様な特性がdcモーターにはあり、負荷に対して効率の良い制御ができるよう各パラメータの特性をモーターの回転数と紐づけてやる必要がある。

しかしこのモーターについてはあまりにも情報が少なすぎるので、本来であれば回転数-トルク特性曲線を基に車両設計するのが本来の流れであるが、それが出来ない。

トルクの測定にはキチンとした設備、機器が必要であり、自前でなんとかなるものではない。

従って今できることと言えば回転数に対する電流電圧特性を解析することくらい。

とは言え、これらの特性を把握しておく事も大事で、スタート時と定速走行時で電流調整するのか、電圧調整するのかの判断はつく。

また、効率の良い電流電圧値では回転数が如何程かを知っていなければ長時間走り切ることはできない。

二軸のパラメーターを回転数ごとに解析するとなるとかなりデータ量が増えるが、まずは12V、24Vのみで無負荷状態を測定した。

以下はその結果になる。

 

 

■負荷なし(モーター単体)

<12V>

12.56V 300mA 269.0rpm 3.7W

12.45V 500mA 479.0rpm 6.2W

12.38V 700mA 706.0rpm 8.8W

12.32V 900mA 926.0rpm 11.2W

12.30V 1000mA 1034rpm 12.4W

12.07V 1100mA 1150rpm 13.5W ←後取り

12.04V 1200mA 1244rpm 14.6W ←後取り

12.01V 1300mA 1331rpm 15.7W ←後取り

11.99V 1400mA 1448rpm 16.9W ←後取り

12.20V 1470mA 1500rpm 18.1W


<24V>

24.18V 300mA 167.5rpm 3.7W

24.18V 500mA 370.3rpm 6.2W

24.18V 700mA 547.0rpm 8.7W

24.17V 900mA 729.0rpm 11.1W

24.17V 1000mA 822.0rpm 12.2W

24.19V 1200mA 982.7rpm 14.8W

24.19V 1400mA 1171rpm 17.0W

24.18V 1600mA 1328rpm 19.8W

24.18V 1800mA 1504rpm 22.0W

24.18V 2000mA 1695rpm 24.4W

24.18V 2200mA 1870rpm 26.7W

24.17V 2400mA 2036rpm 29.0W

24.17V 2600mA 2220rpm 31.4W

24.17V 2800mA 2379rpm 33.8W

24.17V 3000mA 2566rpm 36.1W

24.17V 3200mA 2702rpm 38.3W

24.17V 3400mA 2868rpm 40.6W

24.16V 3600mA 3056rpm 43.3W

24.16V 3750mA 3100rpm 44.1W

 

 

■負荷なし(タイヤ・チェーン接続時)

<12V>

12.51V 300mA 205.9rpm

12.18V 500mA 336.6rpm 6.0W

12.12V 700mA 475.2rpm 8.6W

12.08V 900mA 609.9rpm 10.9W

12.05V 1000mA 672.4rpm 12.0W

12.03V 1100mA 754.4rpm 13.3W

12.01V 1200mA 815.8rpm 14.3W

11.98V 1300mA 908.1rpm 15.7W

11.96V 1400mA 960.1rpm 16.9W


<24V>

24.19V 300mA 126.5rpm(取り直し)

24.18V 500mA 281.4rpm(取り直し)


24.19V 300mA 86rpm 3.6W

24.19V 500mA 240.9rpm 6.1W

24.19V 700mA 384.6rpm 8.5W

24.19V 900mA 491.2rpm 10.8W

24.19V 1000mA 563.1rpm 12.1W

24.19V 1200mA 680.5rpm 14.5W

24.18V 1400mA 799.3rpm 16.5W

24.18V 1600mA 914.4rpm 18.7W

24.18V 1800mA 978.8rpm 21.9W

24.18V 2000mA 1078rpm 25.0W

24.18V 2200mA 1182rpm 26.2W

24.17V 2400mA 1279rpm 28.4W

24.17V 2600mA 1381rpm 31.0W

24.17V 2800mA 1482rpm 33.2W

24.17V 3000mA 1534rpm 35.5W

24.17V 3200mA 1652rpm 37.6W

24.16V 3400mA 1767rpm 40.1W

24.16V 3800mA 1868rpm 45.8W

 

回路構成は以下の様になっている。

・12V

バッテリー→pwm制御回路→モーター

・24V

バッテリー→昇圧器→pwm制御回路→モーター

上記の場合、24V駆動のときのバッテリー電圧は測定できていないので後日また測り直す。

 

測定し終わって、改めて上記測定値を眺めてみる。

まず、12V駆動と24V駆動では入力できる電流値が異なっていることが分かると思う。(明らかに行数が多い)

これはpwm制御回路の限界値(バッ直)まで入力してここまでしか電流を入れられなかった、と言う事である。

決して電流をここまででセーブしたわけではない。

 

となると、やはりモーター単体のバッ直状態を比較すると分かる通り電圧値が倍になると回転数も倍になっていることが分かると思う。

また、タイヤ・チェーンを接続した場合でも同様の結果が出ている。

この事から、電圧変化がモーターの回転数に影響を及ぼすことが明らかとなった。

 

しかし電流に着目してみるとどうだろうか。

同じ電流値で回すなら明らかに電圧が低い方が多く回転している。

これについてはまだ検証が必要で、昇圧器の効率が分からないことには結論は出せない。

つまり、バッテリーから供給されているエネルギーを昇圧器とモーターで分け合っている状態にあるので、単純比較できないという事である。

ここは測定の仕方が悪く、モーターへの流入電流を同時に測るべきであった。

もしくはもう一つバッテリーを用意して24Vの直繋ぎで同様の測定を行うか。

とは言え、今の構成で明らかにモーターの回転数が低く出ているので低速側では12V走行するのが良いと言うことになる。

 

タイヤ接続で軽負荷がかかっても回転差の特性に変化は見られず、12Vと24Vの結果は平行線であった。

従って、今のところの解としては「12V駆動で40分間走り切れる電流値で走る」事が最適であると言うことになる。

因みに現在使っているバッテリー(HTX7L-BS)だと8A程度を連続出力するとちょうど40分で使い切る感じである。

大会で使用するものはytx4l-bsという型式のもので、電流容量がもっと少ないので3〜4A程度になるのではないかと推測している。

この辺りも正規のバッテリーを買ってきて40分間の放電試験を行なってみる必要があると考えている。

 

今後の課題として以下の事が挙げられる。

課題

1.昇圧器の効率測定をする。

今回同様に電流電圧のパラメーターを振って測定する必要がある。

2.電圧パラメーターを振る

12V〜24V の中間電圧にもパラメーターを振って電流値に対する回転数の増減を明らかにする。

3.バッテリー2直接続

24V の昇圧器なし状態の比較をする。

4.正規バッテリー(ytx4l-bs)での放電試験。

擬似負荷を接続して40分間での放電電流をどうするのが最適であるかを模索する。

5.回転数に対する効率・トルク曲線の描画

最適な回転数を探る必要がある