さて、今回はコッククロフト・ウォルトン回路の製作に取り掛かりました。
回路図は以下のようなものです。
コッククロフト・ウォルトン回路及び回路構成
コッククロフト・ウォルトン回路と毎回書くのは面倒なのでCW回路と表記することにします。
さて、このCW回路とはいったい何なのかというと低い入力電圧から高い出力電圧を取り出すための回路です。
高電圧発生回路は昔からいろいろなものが考案されてきました。
テスラコイルもその一つで、とても高い電圧を出力電圧を生成することができます。
しかし、テスラコイルでの電力生成は結構難しく大掛かりになるので時間もかかります。
したがって簡易に回路を構成でき、部品調達も楽な回路としてCW回路はとてもよく使われており有名です。
それで、このCW回路を作って実際に高い電圧を作ってみようというのが今回の趣旨です。
前回はコイルの巻き数比を使って二次出力から高い電圧を取り出しましたが、それよりもっと高い電圧を取り出そうと考えています。
CW回路は交流入力の直流出力です。
それで、前回作った発振回路を使ってオペアンプでボルテージフォロワさせつつコイルである程度の大きさの電圧値までもっていってCW回路で最終段の高電圧を発生させる、というのが今回のシナリオです。
まずはこのシナリオが実際にうまくいくかを検証しましたのでその結果を載せます。
測定結果
まず、手持ちのコイルでできるところまでやってみました。
結果から言うと正常に動作していました。
しかし、数百~千ボルトもの高電圧にそのまま適用できるかはわかりません。
なぜかというと、低電圧を高電圧に変換するということはコイルでやったことと同じでそれだけ電流を消費して電圧に変換しているということになるからです。
CW回路では目標の電圧値までをダイオードとコンデンサで段数を細かく分けて、ちょうど人間が階段を上るように1ステップずつ小さな電力を積み上げていきます。
しかし、初段の1ステップと最終段の1ステップがまったく同じエネルギー消費で成り立つかというと、たぶんそうではないような気がします。(これは私の今までの経験則から勘で論じているに過ぎないですが)
で、ながながと講釈垂れ流しても今はまだ関係ないので結果を見ていきます。
この結果、個人的にはなかなか面白かったです。
理論を〇ikipediaで読んでいる分には段数に応じた倍電圧が生成されて行って無限に高い電圧を取り出せそうな錯覚に陥っていましたが、やはりこれも現実との乖離があって理想論とのギャップが面白い形で現れました。
まずACの入力電圧は±10Vの交流電圧です。
ここから、初段の電圧は理論値で行くといきなり20Vの直流電圧が取れるはずです。
しかし実際は7.59Vでした。
はて…(・・?
〇ikipediaに騙されたか?と、思ったりもしたがよくよく冷静に考えてみるとダイオードの電圧ドロップ分を完全に失念している。
理論ばっかりやっているとこういう落とし穴にはまるからよくない。(;^ω^)<言い過ぎ
ということで大体2.4V分のドロップが起きているのはダイオード2つ分通ってC1,C2に電荷が蓄積されているからそうなっているのだ、ということが分かった。
おそらくどれだけ電圧を上げていっても変わらない回路としての特性であるので次回以降に考慮すべき点として学びがあった。
また、2段目、3段目と進んでいくうちに電圧降下していく現象もみられた。
これもおそらくダイオードの仕業である。
この回路は電源から遠いほどダイオードの電圧ドロップ分がかさんでコンデンサの充電電圧が低くなってしまう特性を持っているのだ。
これは潜在的な問題なので仕方がない。
それを考慮して設計する必要がある、ということである。
ドロップを抑えたい場合はショットキーバリアダイオードなども候補に挙がるが、そこまで高い逆電圧に耐えるものがあるのかよくわからないところだ。(調べればすぐに分かるが)
で、とりあえず4段のCW回路を構成してみてわかったのは以上であったが、下記の参考記事なども読んでみるとせいぜい10段~20段が関の山らしい。
関の山って関市にある山のこと言ってるのかな?後で調べよ。
おそらくは加える電圧の高さと周波数にある程度依存していそうだが、それもまた試してみないとわからないので何とも言えない。
もとより今回は実験環境が正しく動作するかの確認であったので目的は達成できたものとしたい。
次回はオペアンプの動作領域まで周波数を落としてきちんとした正弦波を入力したいのと、昇圧コイルの二次側の巻き数をもっと増やして10倍程度の増幅電圧でCW回路を駆動させてみたいと考えている。
というのも、現状ではアンプの動作が周波数に追い付かず12V駆動しているのに出力が5Vp-pになってしまっている。
それを昇圧コイルで10Vp-pに昇圧してCW回路で23V程度まで昇圧しているのが現状なので、全然回路構成のうま味が出せていない。
CW回路の特性も考慮すると、今回のように低すぎる入力電圧ではいくら段数を増やしたところで最終段の出力はあまり上げきれるものではないことが分かった。
つまり、入力電圧はその時点である程度高い電圧を印加しなければならないことを意味している。
そして、その昇圧コイルとCW回路を直接駆動しているのがオペアンプ1つだけなのでもしかしたらある電圧値以降で過負荷になり電流駆動能力を超えてしまってシャットダウンするかもな~などと考えている。
まあ今日はこんなところで、残りの時間は共振回路のコイルまきまきして寝ましょうかね。
■参考記事
https://blog.shapoco.net/2018/08/100kv-with-cw-circuit.html
■関連記事
コッククロフト・ウォルトン回路の製作2 - Rightblue9のブログ (hatenablog.com)
CW回路の製作2 - Rightblue9のブログ (hatenablog.com)
CW回路の製作3 - Rightblue9のブログ (hatenablog.com)
CW回路の製作4 - Rightblue9のブログ (hatenablog.com)
以上、長文駄文失礼