近々進捗があったので報告です。
先の記事でも載せたようにこの回路で昇圧した電圧値を決めているのは変圧器とCW回路の段数でした。
そして「目標は300Vだー!」と言いましたが、それはHBM試験の場合であって実際にはCDM試験、MM試験と言う他の試験も存在します。
それらも加味して静電気試験を行えるようにするためには最大で25kVもの直流電圧を生み出してやる必要があります。
そうなってくると350V程度で浮かれていては「箸にも棒にもかからない」という事を認識しておかねばなりません。
従って高電圧発生回路の製作はまだまだ続く事になります。
で、長い前置きでしたが昇圧コイルの巻き数を増加させCW回路の段数を増やして再実験を行いました。
ch1 : 発振波形
ch2 : アンプ出力波形
ch3 : 電力増幅アンプの出力波形
ch4 : 昇圧コイルの出力波形
CW回路の最終出力段電圧
上記オシロスコープの波形とテスターの電圧値が一通りの実験結果となります。
ここでの変化点はch3、ch4、最終出力電圧値になります。
まず一つずつ見ていきます。
・ch3の波形について
綺麗な正弦波から崩れてしまっていますね。
これはコイルの巻き数を増やしすぎたせいで線間の寄生容量や各巻線にバラバラに誘導起電力が生じてしまい歪みが生じるものと考えていました。
しかしのちにテスターを外した際の波形が綺麗な正弦波になっていたことからテスターの内部レンジ変更の直流抵抗分が切り替わる事で生じている歪みであることが分かりました。
従って回路は正常に動作しています。
※現在の回路構成ではそこまで電流容量を稼ぐことができておらず、負荷変動について行くことができていない、と言い換えることもできますね。
・ch4の波形について
昇圧後の波形です。
今回の巻き数比は全く正確に測れていません。
なにせ10メートルのポリエチレン線を全て巻き切ったのと作業を何度も中断したため無理でした。
とは言えVppで300Vppくらいはあったかと思いますので約10倍くらいになるでしょうか。
・最終出力電圧
CW回路も2段増やしました。
目標電圧値に対してまどろっこしい事をするのにも疲れてきたのと、急激に増やしても問題なさそうだったのでそうしました。
結果から言うとあまり意味のない改造になってしまいました。
理由は何となくでしか把握できていませんが、以前の記事に書いたように回路の入力段から遠く離れれば離れるほど経由するダイオードの数が増えるのと、その間にあるコンデンサも自然放電が進んでいきますのでマンパワーでの充電が難しくなっていくわけです。
この問題を解決するためにはより強力に充電してやる必要がある他、コンデンサの放電特性よりもっと早く充電してやる(結果、周波数を上げる)、もしくは各段におけるコンデンサの容量を増やす必要があるのかもしれません。
この辺りは残課題として引き継ごうと思います。
放電回路
上記回路図は充電回路がどのように放電電極と試供品と接続されるかを書き表したものです。
実際のESDガンの内部がどうなっているのかは分からないのですがおそらくこれと似たような構造になっていると思います。
で、実際にコレを動かそうとしたときは図中に記載のある通りSw1とSw2のスイッチングのタイミングに注意してやる必要があります。
ディレイの設定と、ディレイタイム中に自然放電して電圧が下がることを加味して印加電圧が意図した電圧値となるよう制御を工夫する必要があります。
この辺りは電極の形状だったりガンの形状をどうするか、などメカ的な要素も多分に含まれるので悩みどころです。
とりあえず今回はここまでとします。