本来は記事を書きながら取り組みを纏めつつ次やるべきアクションを考えるのが正当な流れであると思う。
ここで書くのはまだまともに走り出していなかった時の取り組みを書いていこうと思う。
当初の取り組みは何をしていたかというと、兄から貰ったウィンドウモーター(車種・詳細不明)をマイコンで制御しようとしていた。
具体的にはArduinoを使用して12V のACアダプタに接続されたモーターとの間にmosfetを挿入してPWM制御をしようとしていた。
モーター制御機構が出来上がってから車両に組み込んで走ろうと考えていたのだ。
当初は実に簡単に制御できるものと考えていたが、模型用のモーターならいざ知らず12V モーターのローターはとてもデカく大電流を流す負荷であったので事は単純に進まなかった。
まずモーターに12V 直結状態で定常電流が1.2〜1.3A程度流れていた。
従ってmosfetで最大1.3A程度の電流を受け止めなければならない事になる。
電子回路もまともに組んで動かしたりした事がなかったのでmosfetの扱いもよく分からなかった。
知識では知っているつもりであったが、実際に有効に動作させるための回路構成というのは、本で聞き齧ったようなものとは少し違う。
現実では理想系との乖離があって、そう言った差分を埋める工夫が所々に散りばめられている。
それが所謂エンジニアとして大事な経験であるのだが、まさにそこにハマってしまった。
まず使っているfetがPチャネルなのかNチャネルなのかを把握しなければならない。
また、イレギュラーな使い方では正しく機能しない。
その辺りを全く無視して回路を構成したりして、off信号を送っているのにonしてしまって漏れ電流からモーターが回転してしまったりなどした。
そのときはmosfetにも多少の負荷がかかってガンガン発熱して壊れた。
また、別のfetを入手して回路構成には問題なかったがmosfetをうまく駆動できない問題にぶち当たった。
これはArduinoの出力から直接mosfetのゲートを叩いていた事が原因である。
小信号MOSならこんなことは起きない。
なぜならゲートの寄生容量や駆動電流がそこまで必要ではないからだ。
しかし大電流用のmosfetなら話は変わってくる。
構造も大型化して発熱も増えるのでそれなりに構造的な変化があるのだろう、これが理想系との乖離という奴だ。
それのせいで9V電池ならゲートを駆動できるのにArduinoでは無理、という状況を生んだ。
かくしてプッシュプル回路なども知らなかった私は途方に暮れた。
仕方がないので「トランジスタを使うか」ということになり、自分の知っていて扱ったことのある2sc1815という超有名な石を使うことにした。
これは結果的にどうなったかというと、電子回路がわかっている人なら予想がつくだろうがうまく動作しなかった。
Vce間電圧が60Vって書いてあるのにね。(そこがまた、エンジニアとしての部品の使いこなしにかかわってくる話だ)
具体的には、つないだ時は止まっているが一度ベース電流を流すともう止められなくなる、つまり電流破壊を起こしてショート破壊の故障モードで壊れてしまう。
故障モードというのは製品設計をするうえでの考え方でFTAとかFMEAとかの故障予想をするときなどに使われる。
様々な故障の仕方を想定して、その壊れ方にそれぞれ順位付けをしていく。
最悪な故障の仕方のうちの一つがショート破壊の故障モードである。
その他、ショート破壊がデフォルトな素子で有名なのがコンデンサである。
過大な電圧がかかった時に電極間の静電破壊が生じて電流が一気に流れてしまい、通電状態で破壊してしまう。
いわゆる電流が原因で起こる破壊が一般的にショート破壊を引き起こしているのだという認識だ。(これはあくまでも自分が思っている印象に過ぎないが)
それで、小信号用のトランジスタで1.3Aもの電流を駆動させようというのだから無理があってしかるべき事象なのだが、それもやってみて失敗しなければわからないことである。
だがしかし、愚かな私はそれに気づかない。
いや、その時の回路の知識では故障モードなどという言葉も知らなかった。
なので、もっと強力に電流を制御できそうな「ダーリントン接続」という強そうな言葉に惹かれてそれを試した。2SC1815で。
トランジスタをダーリントン接続すると、後段で受けるトランジスタにはhfe×hfe分の電流が流れ込む。
当然、上記で話したように2SC1815ではそれを受け止められるほどの能力を有していない。
結果、かなりの電流が流れたのだと思うがトランジスタが燃えた(笑)
そしてブレッドボードにも焦げ跡がついて穴がガバガバになった(笑)
さらにArduinoの出力ポートも電流が逆流したらしく使えなくなった(笑)
などなど、失敗を繰り返しまくりであった。
モノ作りに失敗はつきもの。
失敗を危惧するよりまずは手を動かす、これが大事である。
頭で考えているだけで物が出来上がる、なんてことはまずありえない。
こと、電子工作などは部品の使いこなしが重要であることを最近しみじみと感じるところである。
失敗はしてもよいのだ。
まずはやってみる。
この精神がとても大事。
以上、長文乱文失礼。