ene-1車両の設計製作9 走行試験

2023/7/2走行試験の2回目を行いました。

本件ではドライブスプロケットのハブ破損と言う事態が前日にあり、急遽作り直して走行させています。
バッテリーはエネループ40本。
前回からの変化点としてはハンドルバーを10mm長いものに変更しています。
場所は木曽三川公園の柵内で行いました。
川の土手を一本道で10kmほどの距離になります。
路面状況も不明だったため最高速度は出せていませんがボリューム開度約70〜80%程度で40km/hくらいでした。
上位に食い込む車両の平均速度が50km/hくらいらしいので現時点では箸にも棒にもかからないですね。

今回の走行試験での確認事項としては下記の通りです。

 

■走行試験での確認事項
・走行場所が適切か(走行していい場所か、路面凹凸がないか)
・PLA樹脂の強度確認(特に駆動系)
・バッテリーの取り回し、端子接触など
・5A走行時の速度
・坂道登坂時の電流値確認
・高速走行時のハンドリング
回生ブレーキの動作確認
・最長移動距離の確認

では一つ一つ見ていきます。

 

・走行場所が適切であるかについて
今回走行試験を実施した場所は木曾三川公園の柵の内側になります。
下記GoogleMapでバーベキュー場があると思いますがその左右に木曽川長良川があってその間に細い土手が北向きに長く続いていると思います。
そのスペースは柵で車の侵入を阻止しており自転車乗りの方がものすごいスピードで走り抜けています。
たまに原付が走っている以外は特に何もないただのまっすぐな道です。
ある程度まっすぐ行くとパラグライダーの準備をしているおじさんに出会いました。
その日はパラグライダーでしたが別日にはウィンチでグライダーを引っ張って飛ばしたりもしているそうです。
話を聞いていると特に注意する点はなさそうです。
ただ、自転車が多いので接触事故にだけ気を付ける必要がありそうでした。

走行場所

パラグライダーの準備を見学

・路面に凹凸がないか
これについては実際に走ってみなければ分かりません。
ので、とりあえず端から端まで走ってみることにしました。
南側から入っていくと路面に徐行促進のための凹凸が設置されています。
自転車乗りの人はこの横の方をすり抜けるように走行して避けているのですがene-1車両ではトレッドがとてもギリギリでした。
一歩間違えると土手の底に落ちてしまうので危険です。
反対に北側から入ると特に段差もなくスムーズに走ることができます。
路面の細かなひび割れなどありますがそこまで走行に問題はありません。
しばらく走ると東海大橋の下を避けるように窪んでいる部分があります。
そこだけ注意です。
車両に乗った状態では視線が低くなっているので下り坂の先や上り坂の先が見えないです。
その日はそのまま走りましたが自転車との接触が考えられるので一旦降りた方がいいかも知れません。

・PLA樹脂の強度確認
前述の通りドライブスプロケットの軸受けが破損しました。
キー溝を抉るように破壊しているのがわかると思います。
はめ合い公差が甘かったのとキー溝の力を受ける部分の長さと厚みが足りてませんでした。
本来プラス公差で作ると思いますが若干マイナス公差気味にして圧入する方法に変更することでキー溝に対するキックバックを無くしてあげることでその日の走行時間はバッテリーを使い切るまで走ることができました。
ドリブン側のスプロケ取り付けハブもPLAですがこっちは割と強度的に大丈夫のようです。
やはり回転半径が小さいドライブ側の方がトルクを強く受けて壊れたのだと思います。

ドライブスプロケットのハブ取り付け状態

ハブの破壊状態1

ハブの破壊状態2

ハブの破壊状態3

ドリブンスプロケの状態

・バッテリーの取り回し、端子接触など
バッテリーについてはBOXを使って管理しようとしていましたが前回あえなく失敗に終わったためおとなしくニッケルストリップをはんだ付けすることにしました。
通りすがりさんのアドバイス通り10本一組として4セル作成し、それらを直列にすることで48Vを取り出します。
画像では充電済みの元気のある状態なので52Vまで電圧が上がっています。
SNSでも同様の画像を投稿して意見を募ったのですが、まず大会規則としてバッテリーは外部からメーカー、型式が確認できる状態でなければならないため黒い熱収縮チューブで覆うのはよくないと指摘を受けました。
従って現在部品注文中になります。
また、バッテリーマネジメントとして走行中に直並列を切り替えて平坦走行時と登坂時で取り出す電流値を変えたりしているのか聞いてみました。
結論としては直並列切り替えはほとんどのチームで行っていないというのが現状のようです。
登坂時のエネルギーについても結局トータルのエネルギー量が変わるわけではないため優位さは出ないとのこと。
エネルギー=V×I のため一定。
また、ギヤ比についても質問しましたがそれも最高速が出る組み合わせであればあまり気にするところではないとのことでした。
ですので、今回の走行試験では平坦での速度、電流値を確認し、他チームの平均速度と比較して理想的なギヤ比の算出を行うこととしました。

 

バッテリーのはんだ付け1

バッテリーのはんだ付け2

熱収縮チューブによる固定

XT60コネクタによる直列接続

40本直列時の電圧確認

・5A走行時の速度
・坂道登坂時の電流値確認
上記二点については同時に確認できますのでまとめて書いていきます。
まず5A走行時について。
これは平坦部を走行している際の最高速度のことを意味していますが、今回の走行試験では路面のコンディションのすべてを把握できているわけではなかったため5Aマックス走行は実施できていません。
従ってこの値は不明ということになりますがある程度めぼしとしては40km/hくらいで走行していたのでそれを目安にします。
で、ボリューム変化に対する電流値増減がかなり大きい印象をうけており、他チームと比べて遅いですがもう少しギヤ比を下げたほうがよさそうな印象を受けました。
タイヤが20インチでドライブ側16、ドリブン側58ですのでもしかしたら他チームよりトータルではモーターにかかる負荷が高くなっているかもしれません。
定格回転数なども考慮して考える必要がありますが、検討できたら更新します。

次に登坂時の電流値確認です。
これは途中の橋の下をくぐっている部分での確認になります。
一旦、下りきったところで停止し、純粋に登坂時に流れる電流値がどれほどかを見ました。
だいたい7Aほど流れていたと思います。(サーキットブレーカーは10Aほどのものを使用していました。)
これでは鈴鹿の勾配を登れないでしょうね。
もしかしたらその坂の勾配がきつすぎるのかもわかりませんが、いずれにしても余裕がない側になるため1周走り切るより先にダンロップコーナーを登れずリタイアになりそうです。
ですのでやはりギヤ比は下げることになると思います。

電流電圧計の取り付け

・高速走行時のハンドリング
キャスター角をどれくらい付けるかについて考慮が必要です。
現在は0度になっているためかなり反応はいいですがハンドルを取られてしまうかもしれません。
今回の試験走行ではカーブなどはないためあまり細かく確認できていませんがなんとなく蛇行走行した限りではそこまで問題になりそうではありませんでした。
ただ実際のコースでは下り坂で加速度もついてかなり早くなるため後に角度をつけた車体でもハンドリングを確認しようと考えています。

回生ブレーキの動作確認
モーターコントローラーに機能としてついてる回生ブレーキについて、前回低速走行時にはボタンをいくら押してもなんともなかったですが、今回40km/hからボリュームを全閉してスイッチを押すと負荷がかかり電圧が上がりました。
おそらく遅すぎると発電電力が48Vに達しないために回生が機能しなかったものと思われます。

・最長移動距離の確認
この木曾三川公園の土手の長さは約10kmあります。
で、南側に車進入時の速度制限のための段差が7~8ほど100~200mおきにあるため、なんとなくですが片側1kmほどは走行できないと仮定します。
そして、北側から速度制限段差まで走り切って向きを変え2~3㎞ほど走ったところで電池切れになったので大体10kmほどは走ったことになります。
ここで、鈴鹿サーキットは1周約5.8kmですので3周走ると17.4kmになります。
それに加えて高低差がありますから、ざる勘定で平坦を約20kmくらいは走れないと完走できない気がしますね。
つまりこの場所を1往復くらいはできないといけない、ということになります。
現状では2回目のトライでダンロップコーナーをギリギリ登り切ったくらいで電池切れになりそうです。
ギヤ比は下げなきゃいけないけど走行距離は足りていない。
全く持って上位チームはどうやっているのか計り知れません。
一応、今回はカウルなしですのでカウルがあるとまた結果は変わってきます。
私が同好会時代に一度だけカウル有り無しで校内の周回数にどれくらい差が出るか見たことがありますが、約20~30%程度悪くなっていた印象です。
カウルの分重くなっても速度の2乗に比例して抵抗が増加するのでやはりカウルは大事ですね。(遅いことの言い訳をすべてカウルのせいにはできないと思いますが。。。)

 

 

走行試験風景1

走行試験風景2