ene-1車両の設計製作6

前回の記事からまただいぶ時間が経っていますがそれまでにいろいろと試行錯誤し少しづつですが進捗が出ているので記事にしようと思います。

まず前回までの課題としてはフロントタイヤのリンク機構が弱すぎてひしゃげる問題がありました。
これに関してはいつもコメントをくれる「通りすがりの人」さんの助言から判明したことであり大変感謝しています。
実際、M5の棒ネジで作っていましたが私が乗り込んだ状態でハンドルを切るといとも簡単にグニャグニャになってしまいました。
これに関しては動摩擦と静摩擦で違うんじゃないかとも考えたんですがそもそも車体に求められる剛性がギリギリすぎるのはモノづくりしている身としてはナンセンスだと考えたのでM8で作り直しています。

フロントタイヤ取付ユニットとリンク機構1

フロントタイヤ取付ユニットとリンク機構2

で、力のかかる方向についても考慮が必要だとの指摘でしたのでフロントタイヤ軸受けの部分にできるだけ垂直に力がかかるよう位置も調整しています。
そうなってくると今度の問題としてはハンドルの位置からタイヤ軸受け操舵位置が下にずれてしまうことです。
従ってリンク機構の力の伝達は単に回転方向のみでなくねじれの位置に変換する必要が出てきます。
これを達成するためにかなりデカ物を出力しました。
多分この車両の出力物で一番デカイです。
この作り方で何とか強度を保ちつつ形にすることができているのでフロントのハンドルおよび軸受けまでの機構はこれで一旦完了としています。

リンク機構の破壊状態

リンク機構の作り直し状態

次に問題になるのはタイヤの軸の細さです。
これについても「通りすがりの人」さんの助言により気づいた点になります。
何度か乗り降りしていると確かに軸が曲がってきて勝手にキャンバー角が付いてしまいました(笑)
片持ちで実現したいので太い軸受けが必要です。
私がエコデン同好会に所属していたかすかな記憶を頼りに使っていた軸受けのメーカーを探し出し発注することができました。
どうやら車椅子用のハブを作っている会社からハブのみ購入していたようです。
唐沢製作所さんというところになります。
ブレーキ研究開発製造|株式会社唐沢製作所 (karasawa.jp)
ここから購入した軸受けが下記画像になります。
確かにこれを使っていた記憶があります。
なつかしさもひとしおです。
現在はこれに合う軸受けを3Dプリンタで出力しうまくいくかを確認している段階です。

フロントタイヤ軸受け、ハブ1

フロントタイヤ軸受け、ハブ2

フロントタイヤ軸受け、ハブ3

次に取り掛かるのはブレーキユニットです。
ブレーキは2系統取り付ける必要があります。
学生の頃は碌な加工知識もなく、ブレーキの仕組みもあやふやで、なんとなくやっていたので精度が悪いし調整が効かないしで最悪でした。
ブレーキは個人的にかなり重要な部分であると考えています。
というのも急停車時にはタイヤの回転モーメントと車体の運動エネルギーを全て受け止め停止させなければならないためです。
これはおそらくモーターが停止状態から駆動させる時よりも大きなエネルギーが必要で機械的負荷も高いのではないかと考えられます。(あくまで私の勝手な憶測です)
また、ブレーキユニットのストローク距離はあまり大きくとりすぎるとハンドルの制御量を上回ってしまいうまくブレーキをかけれなくなってしまうためそれなりの調整が効く精度で作らなければなりません。
まとめるとブレーキを作るのが一番難しいのでは?ということになります。
で、実際死ぬほどブレーキユニットを作り直してます。

作り直したブレーキユニットの残骸たち

何度も似たような失敗を繰り返し、やっと1系統作れたと思ったら2系統目を付けるとお互い干渉するじゃねーか!!!みたいなことをずっと続けて多分3か月くらいは立っていると思います。
下記画像は直近でやっと2系統まともについた状態ですが、この形状では上記のようなエネルギーを受け止めきれるか正直懐疑的です。
従って現状の意味合いを解釈するなら「物の位置関係が機械的に成立する状態が確立された」だけだと考えています。
上側も下側も同程度の突出量に抑えて押し付け時の反力がモーメントとしてかかる負荷を減らし機械的強度を上げる必要があります。

ブレーキユニットの取付状態

ブレーキに関するエネルギーの受け止めについて話しましたがそれはリアタイヤを受け止めている軸受けも同様です。
基本的にエコデンやene-1などの競技車両は前2輪、後1輪の構成にしていることが多いですが後ろタイヤに仕事をたくさんさせています。
モーター駆動、ブレーキ、人体の加重分散も後ろタイヤの方が多いでしょうし、そこにモーター、バッテリー、コントローラなどの電子機器類も乗るので重量比率は後ろタイヤに過剰に寄っています。
従って車軸受けも堅牢に作らなければすぐに壊れてしまうでしょう。
さすがにPLAでは無理だと考えたので初めてMeviyを使って部品発注してみました。
材料はA6063Sです。押し出し材に適したものですが切削もしてくれます。
よく調べると今回使っているフレーム材はこのA6063と同じものだそうで、この形状で押し出しして部材として販売しているのですね。
勉強になりました。
そんなこんなで発注した部品が下記画像になります。

後ろタイヤ軸受け Meviy発注品 梱包状態

Meviy部品 寸法測ってみる

Meviy部品 取付状態 悪くない

次に作るのはリアタイヤスプロケ取付ハブです。
フレーム組の関係上、進行方向に対してタイヤの左側にモーターを置きたいので必然的にタイヤの左側にスプロケを付けるのですが、通常自転車などはリアタイヤは右側にボスフリーが付いていて変速しています。
ワンウェイクラッチも右側についています。
そのことをあまり考えずに左右逆にして取り付けたところワンウェイクラッチの力が抜ける方向になってしまって永遠にモーターが空回りする事態になってしまい笑い転げた後やる気をなくしました。
エコデンカーレースに出場していた際はワイパーモーター部門ではこのワンウェイクラッチが非常に重要でした。
なんせウォームギアが内蔵されているためモーター動力で動かさない限りはタイヤが勝手に回るとギアのかみ合わせが破壊してしまうからです。
エコデンレースの際はほぼ平坦な路面状況の中でオーバルコースを永遠と周回するという地獄のようなレース展開になるのですが、ことene-1に関しては鈴鹿サーキットもしくはツインリンクもてぎで走るということで高低差もあるしRの違うコーナーも乱立します。
この高低差に関してはワンウェイクラッチが活躍するのでは?と考えたりしていて、基本的にはene-1では回生が主にやられていると思うのですが、例えば鈴鹿サーキットで言えばシケインからホームストレートまでの下り坂を一気にモーターオフで駆け抜けて第1~2コーナーを慣性力に任せて曲がり切りS字あたりで再度モーターで登る、みたいな走り方はどうなんだろうと考えることがありました。
一応、私が買ったモーターキットは回生もできるし進角制御で変速機もついたような状態のため機械的に手を施してやる必要なんてほとんどないのですがいつかやろうと考えています。
長くなりすぎました。
とりあえずタイヤの左側にスプロケ固定用のハブ?フランジ?を取り付けて、モーター側も同じように取り付けてとりあえず回すところまでできました。

スプロケ固定状態

モーター側のスプロケ取付状態

使用しているチェーン 暫定

フロントタイヤ、リアタイヤ、ブレーキユニットまでできているので今度はハンドル周りの製作に取り掛かります。
まずはブレーキのハンドル側を作ります。
この機構のストローク幅が実質、ブレーキユニットの調整幅になるためわりかし重要です。(全部重要じゃねーか)
動く必要範囲を考えできるだけコンパクトに収めたつもりです。
それでもデカくなってしまっているので今後の課題ですね。
次に電装系を取り付けるパネルです。
これはまだ製作途中のため見せるのも恥ずかしいですが途中経過ですので走りながら最適な位置を探っていきます。

操作系 暫定 1

操作系 暫定 2

電装系としてはモーターコントローラとサーキットブレーカ、電池BOXなどが課題となります。
モーターコントローラとサーキットブレーカは取付位置を決めて取り付けるだけですが(それもしんどいよ?)手間がかかるのはBOXです。
ene-1ではエネループを40本使って走行します。
市販の電池BOXも単三乾電池の規格に合っているので適合するのですが如何せん何十Aもの電流が流れるためそのまま適用しても発熱に耐えられるとは思えません。
従ってこれも自作する必要があるわけですが、いろいろなブログやサイトを見てみるとアルミを曲げて電池を固定して端子は別体で作っていたり、木に固定していたりしています。
私はやはり3Dプリンタを駆使して色々試行錯誤しています。
下記画像のようなユニットにして直列にすることを現在画策中です。
PLAだと耐熱性が悪いため、図面ができたらABSなどでMeviyに発注をかけようと考えています。
端子材はアルミです。

電池BOX

とりあえず前回投稿からの進捗を一気に投稿しました。
実はいま金沢旅行に誘われていまして、特急しらさぎに揺られながら記事を書いています。
つかの間の休息というやつですね。
今年のene-1が7/30ですので本当に間に合うんかい?という感じですが焦って不安要素を残したまま出走し事故を起こす方がリスクなのでゆっくりやっていきます。
読んでいただきありがとうございました。

ene-1車両の設計製作5

・ene-1車両の設計製作ちょっと疲れたので休憩

前回からかなりの時間を空けてしまったため一旦今までに設計してきたことをまとめておこうと思います。
なんだかんだ製作に時間はかかっていますが当初の構想は妄想とともに色々と考えていたので記事1つ分くらいは書けると思います。
ただ、時間的余裕がないのと文章を書く気力が底をついているので資料の切り抜きをひたすら貼っていきます。
一応資料にも文章を書いているのでそれを読むだけでも内容は分かると思います。

上記画像ではリンクロッド取付ユニットがロッドエンドと干渉してしまっています。
写真をまだとっていませんが余計な突起を取り払って現在は解決しています。

上記回路ではサージ対策のツェナーダイオードが抜けているのでそれを入れる必要があります。
その他、Source出力はモーターコントローラーに接続すればOKです。
まだコントローラーの回路図を見れていませんがもしかすると電源スイッチも内蔵しているかもしれません。
その際は上記スイッチ回路は必要ないですね。

 

RIGOL DS1054Z パソコン接続方法

今回はRIGOLのオシロスコープ、DS1054Zのパソコン接続について書いていこうと思います。

因みにこの記事に来た人はおそらくその前に下記記事をなめ繰り回したのではないかと思います。

私は合計10恒河沙(ごうがしゃ)くらい読みました。

 

■接続方法に関する詳しい記事

JO4EFC/1 の備忘ブログ: オシロスコープ (RIGOL DS1054Z) をPCに接続する

 

この記事はちょっと古くて2019年1月19日に更新されたものですが、すでにRigolのホームページではUltraSigmaもUltraScopeもダウンロードできなくなっています。(なんてこった)

なので仕方なくUSBメモリでちまちまやっていたのですがやはりどうしても解せないなと思い、たまに思い出しては検索にかけて落胆するのを繰り返していました。

メーカーサポートよわよわすぎて他の製品も買い渋ってしまう気持ちがありました。

製品のコスパはたぶん一番いいのではないかと思います。

なのでどうにか頑張って使える方法はないか色々やった結果UltraSigmaとUltraScopeの二つをダウンロードできるサイトを発見しましたので備忘録としてこの記事を書きます。

 

ダウンロードサイト

Batronix Download-Center

 

このサイトでは色々とごちゃまぜになってるのでサイトの文字検索「Ctrl+F」で「DS1054Z」と検索するといいです。

だいたい15個くらいヒットして10個目がUltraSigmaで13個目がUltraScopeです。

まあ探したらすぐに出ます。

ダウンロードできればこちらのもの。

後は上記サイトでセットアップ方法を実行すればPCで使えるようになります。

DS1054Zは私の世界を広げてくれた素晴らしいオシロスコープですので今後も末永くお付き合いしたいですね。

この記事に行きついた人も同じ感想だと思います。

皆で電子工作を楽しみましょう。

DCモータードライバの設計製作2

前回設計したDCモータードライバでしたが、いろいろと問題があったため改修しました。

 

DCモータードライバ回路図 2次試作

保護回路を一旦削除。

スイッチング用MOSFETの耐圧を上げてヒートシンクマシマシのニンニクヤサイアブラカラメにする。

以上が対策になります。

 

アートワーク

基板外形は前回と同じにし、取付ネジの位置も同じです。

スカスカになったのでビアをいっぱい打っています。

放熱対策です。

また、スイッチングMOSFETにデカめのヒートシンクも取り付けています。

とりあえず一旦これで発注をかけて動かしてみようと思います。

これで許容電流が稼げてとりあえず所望の負荷を駆動できるようになると思います。

ene-1車輌の設計製作4

今回は車両として完成するための残りの部分を作成していきます。

前回まででとりあえずフロントタイヤの取付ユニットとハンドルがひとまず形になったため、残りはブレーキを二系統取り付けてモーターマウントが出来上がれば車両として走る、曲がる、止まるができる状態になります。

そこまでいけば後は走らせながらトライアルアンドエラーを繰り返して車両の完成度を上げるだけです。

それでは作成物を見ていきます。

 

モーターマウント一次試作、取り付け状態

上記画像は一次試作のものですが、厚みが足りずふにゃふにゃしていました。

おそらくこれでは駆動時のモータートルクを受けてひしゃげてしまうでしょう。

厚さ10mmでしたがまだ取付軸に余裕があったので+5mm厚さを足しています。

また、ローターの半径が大体70mmくらいあって片持ちだとかなり長くなってしまうのも問題でした

因みにモーターはミツバモーターで特注品です。

数十万円しました。(サーキットブレーカー、モータードライバ込み)

ゆくゆくはモータードライバは自作してみたいと考えていますがあまりにも時間がかかりすぎるのでまずは競技用のものを一式導入する予定です。

 

モーターマウント二次試作

上記画像は二次試作モーターマウントです。

このモーターマウントではフレームとの固定を強固にすることとモーターのトルクでねじ曲がらないように強度を確保してあります。

取付板の厚みを15mm確保し、モーターのローターぎりぎりまでマウント部の厚みを詰めています。

ひとまずこの状態で実用に耐えるか検討していこうと思います。

 

Vブレーキ取り付けユニット

上記はVブレーキ取り付けユニットです。

Vブレーキは取付に関してはそこまで複雑な要素はありません。

ただ、回転防止のためのピンが立っているのですがこれがとても小さいため、PLAではトルクに耐えれるかどうかが不安です。

また、ブレーキの取付軸もパッドを押し付ける力に対してねじれモーメントがかかるのでその負荷に耐える必要もあります。

従って上記画像の構造では強度不足かもしれないため、一度組み上げたのちに強度テストを行う必要があるでしょう。

とは言えとりあえずすべてが組みあがった後に改善をしていく予定です。

 

ここまでで大体のパーツが出来上がりました。

後はすべてを組付けてどうなるか検証スタート、と思っていましたが。。。

バッテリーの取付場所も確保必要ですし、モータードライバも取付しなきゃいけないですね。

また、ハンドルにブレーキユニットも付けなければいけないしブレーキワイヤーも取り回しが悪いと効きが悪くなったりするのでそんなすぐじゃないですね。

 

ちょっと走り書き過ぎてヤバいですね。

あとで文章校正します。

MOSFETのスイッチング特性測定(ダブルパルス試験)

お疲れ様です。

今回は素子の特性測定回路について書いていこうと思います。

もう1年ほど前になりますがmosfetのスイッチング特性を測定するための回路を設計製作していました。

mosfetの特性といっても実に様々な評価軸があり一概にコレという評価を付けるのが難しいのですが、素子の使われ方としてごく一般的なスイッチングにおける諸特性を測るのに便利な方法としてダブルパルス試験というものがあります。

ダブルパルス試験とはその名のごとくmosfetのGateに2回のパルスを入力してターンオン、ターンオフの過渡特性を測るものです。

ダブルパルス試験の試験概要

■試験概要

・アイドリング電流

まず1回目のパルスをPulse1、2回目のパルスをPulse2と名付けます。(私ルール)

Pulse1のオン時間に従って回路に流れる電流は直線的に増加します。

その特性を利用し、ある電流が流れているときのmosfetのスイッチング特性を測定するためのパラメータとします。

上記試験概要では試験電流を10A、30A、60Aと設定していますが安全を考慮し、500mA、1A、1.5A~といった具合に少ない電流値からスタートする方がいいです。

で、実際の試験では数us程度の時間幅で変化させるためArduinoなどのus単位で変化させることのできる信号源を用意する必要があります。

ここで設定する試験電流が増えるに従い回路の振動が増えるため信号入力側と大電流側とでGNDを切り離しゲートの誤ターンオン・ターンオフを引き起こさないよう注意が必要です。

その他、電源に数千uF程度の水筒コンデンサを設置する必要があります。

大電流が流れた際の電源の振動を吸収するためには最低でもそのくらいの容量が必要になるからです。

後は配線のインダクタンス成分やインピーダンス成分も下げる必要があります。

回路の系で振動を引き起こす原因はインダクタンス成分です。

負荷にLを入れてますがその他の経路でも大電流が流れるため、如何に配線インダクタンスが低いとはいえ数十cmも引き延ばしているといけません。

また、細い線材を使っている場合最悪燃える可能性があるため必ず2sq以上はあった方がいいと思います。

上記のようなことに考慮しつつアイドリング電流の設定を行います。

 

mosfetのターンオフ特性

・ターンオフ特性

アイドリング電流の設定においてmosfetの遮断電流の設定を行ったら今度は実際にGateをオフしてDrain-Source間の電流を遮断します。

この時、mosfetの上流側には負荷を模擬したコイルが配置されています。

このコイルによって遮断しようとする動きに対して残留磁気による電流を流し続けようとする効果によって電源電圧よりも高い電圧が一瞬現れます。

これをオーバーシュートといいますが、これとともに目標の電圧値に収まるまでの振動も発生し、これをリンギングといいます。

このような背反をターンオフ特性として測定します。

 

mosfetのターンオン特性

・ターンオン特性

ターンオフ時のオーバーシュートと同様にアンダーシュートという現象がターンオン時にも発生します。

このような背反をターンオン特性として測定します。

 

・その他の特性

このほかにボディーダイオードの「逆回復特性」およびハイサイドNchの「誤ターンオン」なども測定における重要特性になりますが、試験回路構築においてそこまでの事ができておらずまず現状はスイッチング特性をうまく測れるようになることが重要だと思っています。

 

試験回路、試作1

試験風景

実際に作成した回路が上記写真になります。

モータードライブ用として一般的な2SK4017を試しに回路を構成してみました。

この測定は事前検討で行ったもので失敗に終わりましたが私と同じ足跡を辿る人がいるかもしれませんので間違った例として記事に起こしておきます。

以下はその際の測定結果です。

測定結果1

測定結果2

測定結果3

 

測定結果1は全体波形で2がその拡大です。

測定結果3は同じ回路で条件を変えて測定しなおしています。

この結果で問題となるのは電流の測定方法です。

値の不明瞭なシャント抵抗を用いたために回路に流れている本来の電流値を正確に測ることができていません。

また、測定結果3のように値の大きいシャント抵抗のためにmosfetのD-S間電圧に影響を及ぼしています。

実際にはもっと少ない電流が流れているのですがそれは後になって分かる話。

 

とりあえずそのあたりを考慮して再測定を実施した結果が下記になります。

測定結果4



測定結果5

測定結果6

測定結果は画像のコメント通りなのですが、ここで注目すべきは結果4のゲート波形です。

これはmosfetを用いたスイッチングで必ず考慮しなければならない項目であると思いますが、Gate端子のCISS、いわゆる入力容量が影響してArduinoの出力端子で駆動しただけでは高速スイッチングできない(ドライブしきらない)問題が発生しているのです。

そのため、間にバッファを挟んで強力に充放電してやる必要があります。

その前提があって初めてmosfetのスイッチング特性が測定できます。

これは東芝のアプリケーションノートに記載されているシミュレーション結果とも一致しており、リンギングとの兼ね合いで直列接続の制限抵抗の値を決めますがGateドライブ回路がいかに複雑で難しいものであるかを物語っています。

測定結果7

試験結果8

試験家㏍9

試験結果10

試験家㏍11

試験結果12

試験結果13

改善回路1

上記までの改善を色々と盛り込んで上記のような回路図が出来上がった。(2SA1943はエミッタ、コレクタが逆です。すみません。)
ターンオン、ターンオフのいずれでもゲート容量を駆動するためにはプッシュプル構成のトランジスタで駆動してやる必要があり、その信号波形もある程度強めに駆動する必要があるのとレベルシフトが必要なためmosfetでの駆動を間に挟む。

そうすることでターンオン、ターンオフの波形を瞬時に立ち上がり、立下りさせることができる。

ただしこれはゲート波形の改善をしたに過ぎず、メイン回路の負荷条件やコイルの定数などまだ考慮しなければならないことが残っている。

測定結果14

測定結果15

測定結果16

上記ではD-S間電圧波形に生じる立ち上がり直後のサージ対策について検証したものだ。

基本的に立ち上がりを急峻にしていくとアイドリング電流の量に従って回路全体の振動が増えてしまう。

それによる波形の乱れがひどく、見たい特性値の波形をうまく観測することが難しくなる。

それの対策、ないし測定回路の定数適正化として疑似負荷のコイル定数を見直した。

しかしながら色々と検証を重ねた結果コイル定数はアイドリング電流の立ち上がり時間を可変させるのみで、振動の主な原因はアイドリング電流値そのものであることが明らかとなった。

測定結果15で論じていることはおそらく正しいのだが、ここでやるべきことはコンデンサの削除ではなく定数の増加であった。

つまり、回路内の電流振動を抑え込むために必要なコンデンサ定数はもっと莫大にデカくなければならない。

経験しないとわからないが1000uF~4700uFくらいないと10~20Aもの電流の振動を抑え込むことができない。

通常の直流電源では数ns単位での電流変動に対して数Aもの電流のシンク・ソース出力などできない。

そこも見誤りやすい点である。

電流量が増えると電源の出力インピーダンスは意外に高くなってしまいがちということである。

これを回避できる電源があるとしたら所望の電流容量を有したプログラマブル電源などの4象限電源であろうと思うが高価でデカく重くなるし電源も100V駆動できなくなると思う。

従ってそこまでの大容量のコンデンサを積む必要があったということだ。

単にパワーのロマンに駆られているわけではない。

 

そういったわけでコンデンサを積むのと同時にセンシングアンプも付け足した回路の最終版が下記になる。

最終測定回路図

ここでまた間違いを犯している。

まずシングルエンドの入力なのだからハイサイドのシャント抵抗に対してOPアンプ一個では正確な差動信号を取り出すことは不可能である。

ここでやるべきは完全差動OPアンプを持ってきて差動入力を取るか、もしくはシャントのハイサイド側、ローサイド側をOPアンプ一個ずつ使って受けて、その出力を差動アンプで増幅してやる必要がある。

ただ、回路定数のマッチングがうまくいっていないとおかしなことになるので計装アンプや高精度抵抗と配線のインピーダンスなどを考慮した精密な設計が必要になるため、あまり現実的ではなく、あまり積極採用しない方が得策である。

どちらかというとオシロスコープの完全作動プローブを使って測定した方がいい。(やっていることは同じ。)

 

上記回路図をAWに書き出したのが下図。

最終測定回路のAW

この測定の完成を見るにはトランジスタ技術の特集によるのだが、それによって測定が完成し後に有名Youtuberのイチケンさんの動画でも取り上げられてよく知られるようになったと思う。

 

以上、このテーマで1年くらい悩み苦しんだ過程と結果を書きました。

疑問などあればコメントいただけますと幸いです。