VVVFインバーターの設計製作1

タイトルに既に通し番号を振るなど、一回で終わらない経験者のなせる業である。

それはいいとして、3年前くらいに記事にしていたVVVFインバーターの設計製作がようやく形になってきたので記事を書きます。
VVVFインバーターを作成したいと思ったきっかけは高校生の頃にエコデンレースに出場していた車両が一般モーターの部で三相誘導電動機を使用していたからです。
そのモーターの駆動方式だったわけですが、のちに色々勉強をしてブリッジ回路を三パラにして出力していることは分かっていましたがゲートドライブ回路が一番難しく、知識もなければ有識者も近くにおらずお手上げ状態がずっと続いていました。
かくして最近になって回路CADを使えるようになった私は秋月電子で部品を購入するようになってはじめてゲートドライブICの存在を知りました。
そこからメーカーのアプリケーションノートを読んだり、大学の教科書を読み返したり、他のブロガーさんの製作記を読んだり、Youtubeを見たりしてやっと完成に至りました。

今回使用したゲートドライブICはIR2302というものです。
おそらくもっとも一般的に使用されているICだと思われます。
このICでの製作記は数多く存在しており、石も入手性がよいです。
この石単体ではハーフブリッジドライバでしかないため、三相駆動させるためには3つ使用します。

 ⇒回路図を載せたいのですが手書きのものしかまだないので後で載せます。

で、ブリッジ回路でMOSFETを使用する場合ある問題があります。
それはすべてのMOSFETをNチャネル型にするとハイサイドスイッチングには昇圧回路が必要になる、ということです。
まず、なぜすべてをNチャネル型MOSFETにしようとしているのか?という疑問から考えていきます。
通常、MOSFETトランジスタ同様にコンプリメンタリな素子ですのでNch、Pchと二種類の素子があります。
それぞれNchは電子が多数キャリアとして電荷を運び、Pchは正孔が多数キャリアとなっています。
で、基本的にはNch型の方が原理上多くの電流を流すことができるためPch型のMOSFETはあまり製造されていません。
たぶん無理ではないと思いますが技術的な課題や製造コスト、むずかしさなど色々な問題がありあまり積極採用されないのだと思われます。
従ってNch型MOSFETを積極採用する方向に流れがちです。(金額も種類もダンチです)

昇圧回路が必要になる件について、これはFETの動作を考えればすぐに分かりますが、基本的にSourceに対してGateの電圧を5V以上(もしくは以下)の電圧にする必要があります。
ハイサイド側にPchを使えば電源電圧に対して-5V加えればよく、これはちょうどPNPトランジスタをオープンコレクタで使用しているのと同じ動作に相当します。
同様にNchをローサイド側に使用すればGNDに対して+5Vの電圧を加えればONします。
これをハイサイド側に設置するとどうなるか。
SourceはFETがオンするとDrainと同じ電圧になるため、電源電圧と同じ電圧まで上昇します。
すると、ゲートに加える電圧が電源電圧からそのままとってきた場合、Gate電圧は0Vなのでオンすることができません。
従って電源電圧から少なくとも5V以上の電圧を生成する必要が出てきます。
出力電圧が低く、大電流を流すのでなければ昇圧DCDCコンバータを使うのが手だと思います。
しかし、今後クソデカ三相誘導電動機も動かしたいなと考えているのでやはりここはフライバックコンバータを作るべきでしょう。
TL494というGateスイッチングICがあります。
こいつを使えば絶縁型のフライバックコンバータを作ることができます。
やはり高電圧大電流というのはロマンがあります。
パワーエレクトロニクスというやつです。
電気電子をやっているなら最終的にはそこへ行きつくと思います。
そういった用途での回路は必ず制御回路とパワーラインは分けて駆動します。
パワーラインからの意図しないノイズや高電圧などによる誤動作・破壊を防ぐためです。

このように長々と書き連ねましたがやはりVVVFインバーターの設計というのは難しい。
おそらく電子回路の様々なノウハウが詰まっており、これを作れたら一人前といってもいいのではないかと思います。
具体的な回路や乗数計算などの設計に関する話は次回に持ち越します。
とりあえず、作ってからの更新が先ということで今回はここまで。