DCモータードライバの設計製作

今回の記事はモータードライバの設計製作をした際の覚書です。

以前に実家の農業機器としてモータードライバがほしい旨を言われて作ったものになります。
定格電力に対して大きく余裕度を取ったつもりでしたがPWM駆動のスイッチングロスについて余り知識がなかったためパワー半導体の発熱が大きく、放熱をあまり考慮せず部品選定と基板設計した結果FETのはんだが溶けてしまいました。
従ってそのあたりの改善を残したままモチベが上がらず放置していたので今回記事にしようと思った次第。

まずはともあれ回路図とアートワークをご覧ください。

モータードライバの回路図

モータードライバのアートワーク

なかなか割と本気を出して設計していました。

この回路で取り組んだこととしては下記の通り。

■取り組んだこと一覧
・LMC555(NE555)を用いたDCモーターのPWM制御
・部品点数を極力減らす
・実装面積を極力小さく
・電源電圧5~24Vで駆動すること(実際にはMAX12V)
・電源の逆接続保護
・入力電源のサージ対策
・シャント抵抗による電流検出
・過電流保護(1秒後にリトライ)
・定常電流1A程度 ←これ

特に色々と考えていたのは広い入力電圧範囲を確保することと過電流保護機能です。
農業機器などを扱う際には電源電圧はバッテリーの電圧に従って駆動しますが、家電系のように常に安定した電源が用意されているわけではないし扱いを知らない人が勝手に触ってしまうことも考えられるため容易には壊れない構造にしておくことが必要だと考えました。
また、その点で考えると過電流保護機能も必須です。
過電流保護に関しては一旦ラッチアップしたら再起動が必要だったりすると作業性がかなり悪くなってしまうので、駆動時の振動などで誤ショートなどが生じた場合に1秒後に自動復帰できる方がいいのではないかと考えてそのような機能も実装しています。

しかし上記2点についても実際には完全にはうまくいっていなくて、入力電源電圧の最大値はLMC555の特性に依存していますしリトライについてもヒステリシス回路がうまく作動せず過電流保護が常にかかったような動作になっています。

■動作試験
この回路を作るにあたってはきちんと動作試験も行いました。
一応実際に農機具に乗せて使われることを想定しなければ思わぬ事故を誘発してしまうかもしれないからです。
ここでは主に下記について想定した試験を実施しました。

・電源電圧変動(5V~14V)
・電源逆接続
・過負荷運転
・負荷のGNDショート

電源類の試験はすべてPASSでした。
負荷試験の方も実は私の持っているモーターではPASSしていたのですが実際の負荷につないだ際にはFETが燃えてしまったようです。